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執金剛 2009年12月4日更新
チベット中央部
15世紀後期-16世紀前半
銅鍍金;トルコ石・珊瑚・宝石象嵌、彩色
高47.6cm
ニューアーク美術館
金剛乗の見解によれば、執金剛はあらゆる仏陀の最高の本質である。あらゆる仏陀の法身から不可分であると考えられながら、それにもかかわらず、宝冠や装飾品を身につけて、結跏趺坐に座り、手には金剛杵や金剛鈴を持ち胸の前で交差させて金剛吽迦羅印を結ぶ、執金剛は王者のような報身の仏陀、または天界の菩薩の姿であらわされる。
この輝く鍍金像は、執金剛の神秘的な性格を完璧に表現した作例である。内省的な顔つきに相応しい、背が高く優美な体つきは、現世的なものを超えたかなたのものに転換されているように思われる。
わずかに固さの見える輪になった天衣や、トルコ石の青、珊瑚の赤、黒、栽翠の緑といった色の宝石の気のきいた使い方によって、この像には超俗的な豪華さが付け加わっており、それは薄い宝石の鎖の洗練されたきめこまやかな工夫によって効果が増している。
彫刻の様式には、わずかにネパールの様式の伝統があるようだが、ほっそりと伸ばされた姿は、明らかにチベットの様式である。衣の曲線的な襞の作風は中国の様式に関係があるが、これは特にチベットでは15世紀前期の永楽年間の彫刻から知られるようになり、15世紀後期のチベットの作品には溶け込んでいる。台座もまた通例の永楽年間の様式に従っているが、この作品では15世紀前期の永楽年間の様式の作品と異なり、蓮弁が背後において台座を完全に取り囲んでいない。これらの要素や洗練された様式から、この作品は15世紀後期から16世紀前半に制作されたということが示唆される。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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