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工師文指 2010年4月30日更新
〈工師・文の罍〉
戦国秦
青銅製
高さ27.5cm 口径13cm 腹部の直径25.5cm重さ5.25kg
1993年甘粛省西和県
陝西歴史博物館
肩部に獣の全身像と羊の首が2つずつ、下腹部には4つの牛の首が付いている。銘文にある「工師文」とは、青銅器の鋳造工房の長である文(人名)を表している。「卅四年」だけで王名はないが、戦国秦で34年以上続いた王は昭襄王と始皇帝のふたりだけである。さらに銘文内に始皇帝の諱である「正」が含まれているため、「卅四年」とは恐らく昭襄王34(前273)年を指すのだろう。本器の容積は約8ℓで、銘文の「四斗」と合致する。しかし「十七斤十四両」は現在の単位に換算すると約4.6kgとなり、本器の重さ(5.25kg)とは合致していない。
銘文:
卅四年工帀(師)文工安正
十七斤十四両四斗
訳:
昭襄王34年に工師の文と工の安正(が作成した)。
(重さ)17斤14両(約4.6kg)、(容積)4斗(約8ℓ)。
「5%の壁」
泰代は厳しい法律でがんじがらめにされていたことは知られているが、その中には器物の量(容積)と衡(重さ)に関する規定も存在した。睡虎地秦墓より出土した『効律』によれば、一定の割合以上の誤差が生じた場合には罰金を支払うように定めている。最大で5%までの誤差に対しての罰金があるので、おそらくそれ以上の誤差が生じた場合は基準器などのような度量衡の基準となる器物)として認められないのだろう。これらは主に基準器に対する規定であり、本器のような一般器に対しても適用されていたかは不明である。このように厳格な法で定めることで、広大な中国全域において初めて度量衡を統一するという事業を実現したのだろう。出所:「大兵馬俑展」
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