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銅権 2010年5月11日更新
〈(土+司)工と刻まれた銅のおもり〉
秦
銅製
高さ10.9cm 直径14.9cm 重さ7.7kg
2001年陝西省西安市閻良区(土+原)頭村
陝西歴史博物館
権とは本来、左右のバランスを取って重さを計る器具を指す。そこから転じて重さの基準となる器物そのものを指すようになった。銘文には「(土+司)工重卅(三十)斤」とあり、秦代の1斤は256gなので、30斤は約7.7kgに当たり、本器の重量と合致する。この「(土+司)工」とはおそらく管理用の役人の名前であろう。
「おもりから権カヘ」
「権」といえば、おおかたの人は「権力」のことを思いつくだろう。しかしこの文字本来の意味は、銅権にあるように「おもり」を指すのだ。おもりと権力、一見してつながりのな
さそうなこのふたつは、実は非常に密接な関係がある。
権の字のつくりの「雚」は、仲むつまじく戯れるコウノトリをかたどった文字である。これに「木」を付けて「権」となると、天秤状の器具を使って重さを計ること、さらに重さを計
るためのおもりそのものをも指す。天秤を使って重さを計るには、左右のバランスを上手に取らなければならない。このバランスを取るための力が、すなわち「権力」となる。
つまり権力とは、複数の人間や集団から上がってきた意見を、全体のバランスを取って上手に取りまとめるための力を指すのである。
古代中国・殷王朝の名臣である伊尹は「阿衡」と呼ばれた。この別称は、伊尹があたかも天秤を使うようにバランスを取るのが巧みであったことを指している。そして殷以降の王朝では、この阿衡のようにバランス感覚に優れた人物が理想の政治家とされたのである。
出所:「大兵馬俑展」
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