名称:「アート魚ッチング―描かれた水の仲間たち―」海の見える杜美術館
会期:2021年5月29日(土)-2021年8月22日(日)
開館時間:10:00〜17:00(最終入場時間 16:30)
休館日:月曜日
7月13日(火)~16日(金)
8月10日(火)
※ただし8月9日(月・祝)は開館
観覧料:一般 1,000円
高大生 500円
中学生以下 無料
住所:〒739-0481広島県廿日市市大野亀ヶ岡10701
TEL:0829-56-3221
URL:海の見える杜美術館
魚たちは、古くから人々にとって身近な存在でした。彼らは食料として生活を支えてくれる一方で、水中という別世界を自由に動きまわる不思議な存在でもあります。洋の東西を問わず、その姿は人々の心をとらえ、詩に詠われ、物語に登場し、そして工芸や絵画に象られてきました。
東洋では、そのおいしさは食卓や宴の楽しさを保証し、水中に遊ぶ姿は自由な心のありように例えられ、群れを成して泳ぐ姿は子孫繁栄を象徴し、豊漁を連想させる―というように、魚たちの姿は豊かさと、そしてさらなる幸せを約束する「めでたい」シンボルともなったのです。
一方で、表現者たちは魚の色の美しさや面白い姿かたちに興味を引かれました。江戸時代の浮世絵師たちも、魚をしばしば描いています。その多くは、魚についてうたった狂歌や俳諧などに添えられたもので、歌川広重がてがけた《魚づくし》のシリーズもその一例です。精緻な彫りや色彩からは、魚の鱗や皮膚の感触までが伝わってくるようです。描かれているのは江戸の市場で売られ、人々の食卓を飾った身近な魚たちと思われ、広重は実物を熱心に観察してこのような優れた表現を可能にしたのでしょう。
江戸時代が終わりを迎え、明治という西洋の文化を取り入れた新しい時代になると、絵は、画家の個性を表現するものであり、画家がいかに対象をとらえているのかを見せるものになりました。村上華岳(むらかみかがく)の《金頭》などはその一例と言え、対象に向き合い、画面の上に本物のように描き出そうとする、画家の苦心が見て取れます。
魚たちの魅力のひとつは、その多様な姿や生態にもあります。大野麥風(おおのばくふう)は、昭和十年代にまだ珍しかった水族館に通い詰め、または潜水艦に乗り込んで、生きた魚の姿をその生態ごと活写しました。本展では、限定500部で出版された『大日本魚類画集』全6輯(しゅう)72枚のうち、海の見える杜美術館が所蔵する4輯47枚を一挙に公開します。
魚を描くということは、私たちにとってどのような意味があるのでしょうか。魅力的なその姿とともに、江戸時代から昭和時代までの魚を描く文化の諸相を、海の見える杜美術館のコレクションを通して紹介します。
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