古美術「古九谷と再興九谷Ⅰ」石川県立美術館

古美術「古九谷と再興九谷Ⅰ」石川県立美術館
石川県指定文化財《色絵鳳凰図平鉢》古九谷

名称:古美術「古九谷と再興九谷Ⅰ」石川県立美術館
会期:2021年9月1日(水) ― 2021年9月12日(日)
開館時間:9:30 ― 18:00(入場は17:30まで)
会期中無休
会場:第2展示室
住所:〒920-0963石川県金沢市出羽町2-1
TEL:076-231-7580
URL:石川県立美術館

 「古九谷の美は、一見わかりやすそうでいて、必ずしもそうではないのだ。柿右衛門には甘美な情調とともに、その色にも線にも眼に直ぐ受入れられる感覚的秩序がある。古九谷にはそういう甘美な情調も感覚的秩序もないばかりか、自由な意匠と奔放な色の配置にはどこかに硬質なものが感ぜられ、それが最初は抵抗を呼ぶのだ。やがてその美の世界に入り込むと、それは汲めども尽きぬ豊かさと、いつまでも手応えのある強さとして、われわれの心を捉えて放さぬものとなるのだが。それを私は美の高さと呼ぼう。美の高さには鑑賞者も一挙には至り得ないのだ。古九谷はその美の高さをもっているのである。」谷川徹三「古九谷の美」(集英社『古九谷』昭和46年 所収)より原文のまま引用。
 谷川徹三氏(1895~1989)は、哲学者ならではの深い洞察をもって古九谷の本質を見事に捉えています。この「美の高さ」こそが、色絵磁器という日本の新たな美術ジャンルで江戸幕府に挑み、文化による主体性を表明した加賀藩3代藩主・前田利常が目指したところだったのではないでしょうか。そして「美の高さ」を表出するために、古九谷プロジェクトには、様々な人々の叡智が結集していたことが次第に明らかになってきました。
 こうして古九谷に凝縮されたプロジェクト参画者の情熱や誇りが、時代を超えて人々を鼓舞して、採算性の課題に苦闘しながらも若杉や吉田屋などの再興九谷諸窯に結実し、今日に至る九谷ブランドが確立されました。

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