「梅津庸一展 ポリネーター」ワタリウム美術館

Spring leg 2005-2007 板、綿布、油彩 高橋龍太郎コレクション所蔵

名称:「梅津庸一展 ポリネーター」ワタリウム美術館
会期:2021年9月16日(木)〜2022年1月16日(日)
会場:ワタリウム美術館
時間:11:00〜19:00 (最終入場時間 18:30)
休館日:月曜日 12月31日~2022年1月3日
  ※ただし9月20日、2022年1月10は開館
観覧料:大人 1,200円
  学生(25歳以下) 1,000円
  【ペア割引】
  大人2人 1,800円
  学生2人 1,400円
住所:〒150-0001東京都渋谷区神宮前3-7-6
TEL:03-3402-3001
URL:ワタリウム美術館

戯れ 2005 紙にインク
戯れ 2005 紙にインク
Spring leg 2005-2007 板、綿布、油彩 高橋龍太郎コレクション所蔵
Spring leg 2005-2007 板、綿布、油彩 高橋龍太郎コレクション所蔵
フロレアル -汚い光に混じった大きな花粉- 2012-2014 パネルに油彩、ミクストメディア 愛知県美術館所蔵 Photo by Ichiro Mishima
フロレアル -汚い光に混じった大きな花粉- 2012-2014 パネルに油彩、ミクストメディア 愛知県美術館所蔵 Photo by Ichiro Mishima
不詳  2017 板に墨、水彩、アクリル、インク、油彩
不詳  2017 板に墨、水彩、アクリル、インク、油彩
信楽での作陶の様子 2021
信楽での作陶の様子 2021
内なるスタジオ 2021 陶板 撮影:今村裕司
内なるスタジオ 2021 陶板 撮影:今村裕司
ボトルメールシップ 2021 陶 撮影:今村裕司
ボトルメールシップ 2021 陶 撮影:今村裕司
ポートレイト
ポートレイト

作品に宿った梅津個人の想像力や無意識は多くの人を巻き込み、巻き込まれながら不揃いで不気味な秩序をワタリウム美術館につくりあげる。花粉を媒介する梅津自身の中にも複数の花粉が降っている。

近年の現代アーティストの中で、梅津庸一ほどその活動全域を把握しづらい作家はいない。細密画のようなドローイングや点描画のような絵画作品、自身を素材としたパフォーマンスを記録した映像作品、陶芸作品から、キュレーション、非営利ギャラリー運営など、その領域は多岐にわたっている。

本展は2004年から2021年までの作品を梅津自身がキュレーションしていくが、回顧展ではない。タイトルにある「ポリネーター」は植物の花粉を運んで受粉させる媒介者という意味をもち、梅津自身の立ち位置をたとえて選んだ言葉だ。繊細でフラジャイルなものということで、アートと花粉は似ているかもしれない。それを世界中に広げていく。実際この2年、私たちの世界は微細なウィルスによって麻痺状態に追い込まれ、新たな扉を開かざるを得ない状況に来ていることを考えれば、花粉のようなアートが世界を席巻しても決しておかしくはない。

実は、ワタリウム美術館も「花粉」との縁が深い。1990年開催の第一回展「ライトシード」では、ゲスト・キュレター、ハラルド・ゼーマンが目の覚めるような黄色のたんぽぽの花粉(ヴォルフガング・ライプの作品)を真新しいワタリウム美術館のフロアに敷き詰めた。日本の現代美術にとってそれは衝撃的な出来事だった。

また翌年1991年の「ヨーゼフ・ボイス展 国境を超えユーラシアへ」では、ボイスの「ポーレントランスポート1981」 というアクションを展示した。ボイスは自身の作品を自分で運転するトラックに乗せて運び、ポーランドのウッジ美術館に寄贈した。第二次大戦中この「ポーレントランスポート」というドイツ語がポーランドへの輸送=死の道を連想させたが、ボイスはそのあってはならない歴史に〈再生〉の行動を加えた。この「ポーレン」と言うドイツ語には「ポーランド」と言う意味と同時に隔たりを超え軽やかに運ばれていく「花粉(ポーレン)」が掛かけられていた。

梅津は言う、「美術とはなにか。そして芸術の有用性や公共性とはなにか。それはわかりやすい希望やとっつきやすいビジョンの提示にあるのではなく、一見すると有用性や公共性など感じられないほど入り組んだ悪い夢のような世界にこそ存在する」と語っている。いつも梅津の作品は悪い夢のようでいて、とてもロマンチックなポエムのような空間を有している。

本展ではさらに次のステージへと移り、楽しみな未知の空間となるはずだ。

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