名称:特別展「天之の美禄 酒の美術」大和文華館
会期: 2021年10月9日(土)~ 11月14日(日)
開館時間:午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(ただし祝日と重なる場合は開館)
祝翌日(ただし土・日曜日、祝日と重なる場合は開館)
住所:〒631-0034奈良県奈良市学園南1-11-6
TEL:0742-45-0544
URL:大和文華館
天からの素晴らしい授かりものとして「天の美禄(天之美禄)」と呼ばれる酒は、人の歴史とともに文化や信仰の重要な要素となってきました。
酒は神と人を繋ぐものとされて神事や直会などの場に供えられ、様々な宴では酒を飲み交わすことで人々のつながりが深められました。
花見や月見など季節に応じた宴会や家族や友と設ける宴席など、現在でも飲酒の風習は生活に深く根付いています。
また、奈良は日本酒発祥の地とされ、京都の伏見や兵庫の灘五郷とともに、関西は酒造の地として知られています。
本展覧会では、酒の場で用いられた趣向を凝らした酒器や宴を描く絵画など、酒にまつわる多様な美術作品によって、古代から近世の東アジアにおける酒の文化を紐解きます。美の歴史をたどります。
展覧会の構成
第一章 神・祖先に捧げる ―― 神と人をつなぐ酒:中国
酒は人の歴史に深く関わってきました。中国・商から周時代を代表する青銅器は、祭祀に用いる酒器や食器が多く製作されています。
神に供えるために、鬱金(うこん)で香り付けされた酒、鬯(ちょう)が用いられました。
青銅器には怪獣面の饕餮文(とうてつもん)をはじめ、天と地を行き来すると考えられた龍や鳥のほか、象や亀など様々な生き物の姿があらわされています。
また、酒にまつわる神話や伝説は数多く伝えられ、酒が神仙と結びつけられてきたことがうかがえます。
第二章 酒に酔い、酒を詠う:中国の酒器と詩
広く酒が嗜まれるようになると、人々が用いる酒器には酒についての詩文や吉祥句、また季節に関わる文字が記され、文字が文様に取り入れられるものも作られます。
中国・明時代の酒器には「酒是人間禄、神仙祖代留。三盃和萬事、一酔解千愁」(酒は人に天から与えられる喜びであり、神仙や祖先が残してきた。三杯の酒は万事を調和させ、酔えばあらゆる憂いから解放される。)と記され、酒は天から人に与えられたもので、人々の悩みや苦しみを忘れさせる、と詠われています。
酒を飲んで憂さを晴らし、ほろ酔いで詩歌を口ずさんで楽しむ……そんな姿が見えてきます。
日常生活にまで深く浸透した酒ですが
、ここでも神と人をつなぐものとして捉えられていたことがわかります。
第四章 宴 ―― 人と人をつなぐ酒:日本
飲食の席を共にすること、それは人と人をつなげ、関係を深めるためのものでもあります。
酒は宴会など人々が集まる席でふるまわれ、人と人を繋ぐ役割も果たしています。
お花見やお月見など季節に応じた宴会、家族や友と設ける宴席などにおける飲酒の風習は、季節の恵みを喜び、また人の繋がりを強めるために、現在でも人々の生活の中に根付いています。
ここでは、美術作品の中にあらわされた様々な酒宴の場面を見ていきます。
第五章 宴を彩る名脇役 ―― 酒器
酒を容れ、注ぎ、飲むための酒器は、古来、酒宴の場では欠かせないものです。
様々な場に相応しく、また当時の流行を取り入れて、趣向を凝らした器が作られてきました。
東西交流により葡萄酒が東洋にもたらされると、ワイングラスやそこにあらわされた文様がともに伝えられるように、新しい文化の流入に伴い、酒器やその製作技術が取り入れられていきます。
宴を彩り、人々を楽しませてきた酒器からは、酒宴の歴史とともに、美術の歴史を感じ取ることができます。
出陳品 90件 ※一部展示替えがあります
第一章 神・祖先に捧げる ―― 神と人をつなぐ酒:中国 | |||||
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重要美術品 | 戈卣 | 中国・商時代後期 | 泉屋博古館 | ||
重要美術品 | 青磁多嘴壺 | 中国・北宋時代 | 大和文華館 | ||
人物神獣図石棺床(屏部分) | 中国・北魏時代 | 和泉市久保惣記念美術館 | |||
重要文化財 | 鍍金銀製狩猟文六花形盃 | 中国・唐時代 | 白鶴美術館 | ||
第二章 酒に酔い、酒を詠う:中国の酒器と詩 | |||||
青花捻文瓢形徳利 | 中国・明時代 | MOA美術館 | |||
五彩金襴手婦女形水注 | 中国・明時代 | 大阪市立東洋陶磁美術館 | |||
五彩牡丹文高足杯 | 中国・金―元時代 | 東京国立博物館 | |||
青花詩文面取瓶 | 朝鮮・朝鮮時代 | 京都国立博物館 | |||
第三章 神に捧げる酒、仏と酒:日本 | |||||
春日宮曼荼羅 | 鎌倉~南北朝時代 | 大和文華館 | |||
重要文化財 | 能面 猩々 | 桃山時代・天正19年(1591) | 奈良・天河大辨財天社 | ||
重要文化財 | 漆塗太鼓形酒樽 | 日本・室町時代 | 堺市博物館 | ||
重要文化財 | 光明真言功徳絵詞 | 日本・室町時代 | 滋賀・比叡山 葛川明王院 | ||
第四章 宴 ―― 人と人をつなぐ酒:日本 | |||||
重要美術品 | 色絵酒宴図大平鉢 | 江戸時代 | MOA美術館 | ||
酔客図巻(部分) | 小田海僊筆 | 江戸時代・文政七年(1824) | 泉屋博古館 | ||
東山三絶図 | 円山応挙筆 | 日本・江戸時代後期 | 大和文華館 | ||
赤絵龍文盃 | 青木木米作 | 日本・江戸時代後期 | 大和文華館 | ||
第五章 宴を彩る名脇役 ―― 酒器 | |||||
粉彩梅花文盃 | 中国・清時代 | 大和文華館 | |||
色絵花鳥文盃 | オランダ・1730年頃 | 大和文華館 | |||
東印度会社帆船図硝子酒盃 | オランダ・18世紀 | 大和文華館 | |||
重要美術品 | 黒釉葫芦瓶 | 朝鮮・高麗時代 | 大和文華館 | ||
色絵樽乗西洋人酒器 | 日本・江戸時代 | 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館 |
など
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