国立ベルリン・エジプト博物館所蔵「古代エジプト展 天地創造の神話」東京富士美術館

国立ベルリン・エジプト博物館所蔵「古代エジプト展 天地創造の神話」東京富士美術館

名称:国立ベルリン・エジプト博物館所蔵「古代エジプト展 天地創造の神話」東京富士美術館
会期:2021年9月19日 (日) ~ 12月5日 (日)
休館日:月曜日 ※9月20日(月・祝)は開館、9月21日(火)は休館
開館時間:10:00~17:00(16:30受付終了)
会場:東京富士美術館:本館・企画展示室1〜4
主催:東京富士美術館
入場料金:大人1300(1000)円、大高生800(700)円、中小生400(300)円、未就学児無料
  ※新館常設展示室もご覧になれます
  ※土曜日は中小生無料
  ※( )内は各種割引料金[20名以上の団体・65歳以上の方・当館公式LINE登録者ほか]
住所:〒192-0016東京都八王子市谷野町492-1
TEL:042-691-4511
URL:東京富士美術館

古代エジプトの神話には壮大な生と死のサイクルが描かれていることをご存知でしょうか。たとえば黄金の《ミイラ・マスク》には不滅への祈りが秘められています。本展では、そんな古代エジプトの人たちの「天地創造と終焉の物語」を、ドイツにあるベルリン国立博物館群エジプト博物館のコレクションの中から選りすぐった約130点の作品で展覧いたします。知られざる古代エジプトの神話の世界を、アニメーションも駆使しながら解き明かします。

第1章 天地創造と神々の世界

古代エジプト社会においては、全知全能の神々の力によって、空や雲、砂漠、風などの自然や、人間や獣、昆虫などの生物、太陽や月、星ぼしに至るまで、この世の全てが創造されたと考えられていました。原初の海「ヌン」と呼ばれる暗闇が支配する混沌とした状態から神々の意思により秩序ある世界が創造されたのです。古代エジプト人は、この秩序をマアトと呼びました。この章では、神々の姿や、神々が創った森羅万象を見ていきます。

この世界は、天も地もない全くの暗闇で、
ヌンと呼ばれる混沌とした「原初の海」だけが存在していた。
その大海から自力で出現したのが創造神アトゥムである。
初め、アトゥム神は大海の中をただよっていた。
やがて、大海の中から「原初の丘」と呼ばれる小高い丘が出現した。
その丘に這い上がったアトゥム神は
自力で大気の神シュウと湿気の女神テフヌウトを生み出した。
シュウ神とテフヌウト女神は夫婦となり、
彼らの間に、大地の神ゲブと天空の女神ヌウトが誕生した。
しかし、ゲブ神とヌウト女神は片時も離れない。
そこで、父であるシュウ神が2神を引き離し、
天と地を分け、その間に大気が存在することとなった。
その後、ゲブ神とヌウト女神の間には
オシリス神、イシス女神、セト神、ネフティス女神が誕生。
創造神アトゥム、シュウ神、テフヌウト女神、ゲブ神、ヌウト女神、
オシリス神、イシス女神、セト神、ネフティス女神の九柱は
創世神話にかかわる重要な神々として、ヘリオポリスの9柱神と呼ばれる。

背面にジェド柱を持つオシリス神の小像</h5> 高さ21.5cm×幅7.2cm×奥行き10.5cm末期王朝時代、前664~前332年頃© SMB / S. Steiß
背面にジェド柱を持つオシリス神の小像 高さ21.5cm×幅7.2cm×奥行き10.5cm末期王朝時代、前664~前332年頃© SMB / S. Steiß
ホルス神に授乳するイシス女神の小像 高さ9.7cm×幅3.2cm×奥行き6.1cm末期王朝・第26王朝、前664~前525年頃© SMB / S. Steiß
ホルス神に授乳するイシス女神の小像 高さ9.7cm×幅3.2cm×奥行き6.1cm末期王朝・第26王朝、前664~前525年頃© SMB / S. Steiß
ハヤブサの姿をしたホルス神の小像 高さ3,8cm x 幅1,5cm x奥行き 3,8cmプトレマイオス朝、前323~前30年頃© SMB / S. Steiß
ハヤブサの姿をしたホルス神の小像 高さ3,8cm x 幅1,5cm x奥行き 3,8cmプトレマイオス朝、前323~前30年頃© SMB / S. Steiß
セクメト女神座像 高さ211cm×幅49cm×奥行き102cm新王国・第18王朝、アメンヘテプ3世治世、前1388~前1351年頃© SMB / S. Steiß
セクメト女神座像 高さ211cm×幅49cm×奥行き102cm新王国・第18王朝、アメンヘテプ3世治世、前1388~前1351年頃© SMB / S. Steiß
バステト女神座像 高さ22.5cm×幅8.7cm×奥行き17cm末期王朝・第26王朝、ネコ2世治世、前610~前595 年頃© SMB / S. Steiß
バステト女神座像 高さ22.5cm×幅8.7cm×奥行き17cm末期王朝・第26王朝、ネコ2世治世、前610~前595 年頃© SMB / S. Steiß

第2章 ファラオと宇宙の秩序

宇宙の全体を支配する秩序・摂理(マアト)は、絶対であり、個々の人間が遵守すべき最も重要な規範・道徳としても考えられていました。人間社会のリーダーであるファラオは、社会の中でマアトを守り、実行する最高責任者でした。異民族の侵入やファラオに対する謀反といったようなマアトを揺るがす大きな事件に対しては、「善き神」であるファラオ自身が、強いリーダーシップをもってマアトを実践していくことが必要とされていたのです。

ハトシェプスト女王あるいはトトメス3世のスフィンクス像頭部 高さ18,5cm x 幅16cm x 奥行き13cm 新王国・第18王朝、ハトシェプスト・トトメス3世治世、前1479~前1425年頃 © SMB / M. Büsing
ハトシェプスト女王あるいはトトメス3世のスフィンクス像頭部 高さ18,5cm x 幅16cm x 奥行き13cm 新王国・第18王朝、ハトシェプスト・トトメス3世治世、前1479~前1425年頃 © SMB / M. Büsing
王の書記ホリのステラ< 高さ100cm×幅65cm×奥行き15cm 新王国・第20王朝、ラメセス8世治世、前1126~前1125 年頃 © SMB / I. Geske
王の書記ホリのステラ< 高さ100cm×幅65cm×奥行き15cm 新王国・第20王朝、ラメセス8世治世、前1126~前1125 年頃 © SMB / I. Geske
カルナク神殿のアメン神官ホルの方形彫像 高さ31cm×幅16.5cm×奥行き21cm 第3中間期・第22王朝、オソルコン2世治世、前875~前837年頃または第23王朝、オソルコン3世前790~前762年頃 © SMB / S. Steiß
カルナク神殿のアメン神官ホルの方形彫像 高さ31cm×幅16.5cm×奥行き21cm 第3中間期・第22王朝、オソルコン2世治世、前875~前837年頃または第23王朝、オソルコン3世前790~前762年頃 © SMB / S. Steiß
ベス神の象嵌 高さ16.8cm×幅8.2cm×奥行き2.2cm 末期王朝時代、前664~前332年頃 © SMB / J. Liepe
ベス神の象嵌 高さ16.8cm×幅8.2cm×奥行き2.2cm 末期王朝時代、前664~前332年頃 © SMB / J. Liepe
創造の卵を持つスカラベとして表現された原初の神プタハ 高さ43cm×幅25.5cm×奥行き17cm 第3中間期・第25王朝(クシュ王朝)、前746~前655年頃 © SMB / J. Liepe
創造の卵を持つスカラベとして表現された原初の神プタハ 高さ43cm×幅25.5cm×奥行き17cm 第3中間期・第25王朝(クシュ王朝)、前746~前655年頃 © SMB / J. Liepe
太陽の船に乗るスカラベを描いたパネヘシのペクトラル(胸飾り) 高さ10.6cm×幅10.2cm×厚さ2.6cm 新王国・第20王朝、前1186~前1070年頃 © SMB / S. Steiß
太陽の船に乗るスカラベを描いたパネヘシのペクトラル(胸飾り) 高さ10.6cm×幅10.2cm×厚さ2.6cm 新王国・第20王朝、前1186~前1070年頃 © SMB / S. Steiß
ネフェルトイティ(ネフェルティティ)王妃あるいは王女メリトアテンの頭部 高さ29cm×幅14.9cm×奥行き16.5cm 新王国・第18王朝・アマルナ時代、アメンヘテプ4世/アクエンアテン王治世、前1351~前1334年頃 © SMB / S. Steiß
ネフェルトイティ(ネフェルティティ)王妃あるいは王女メリトアテンの頭部 高さ29cm×幅14.9cm×奥行き16.5cm 新王国・第18王朝・アマルナ時代、アメンヘテプ4世/アクエンアテン王治世、前1351~前1334年頃 © SMB / S. Steiß
王妃立像 高さ40.5cm×幅8cm×奥行き17cm 新王国・第18王朝・アマルナ時代、アメンヘテプ4世/アクエンアテン王治世、前1351~前1334年頃 © SMB / S. Steiß
王妃立像 高さ40.5cm×幅8cm×奥行き17cm 新王国・第18王朝・アマルナ時代、アメンヘテプ4世/アクエンアテン王治世、前1351~前1334年頃 © SMB / S. Steiß

第3章 死後の審判

死者は、墓地の守護神でミイラ作りの神でもあるジャッカルの頭をしたアヌビスにより、「二つのマアト(正義)の広間」に導かれます。ここで死者の審判が行われ、死者の心臓は天秤ばかりにかけられ、マアトを象徴する羽根と釣り合うか計られます。古代エジプト人は考えたり思ったりする器官は脳ではなく心臓だと考えていました。

タレメチュエンバステトの「死者の書 縦36.3cm × 長さ413.4cm<br>プトレマイオス時代初期、前332~前246年頃 © SMB / A. Paasch
タレメチュエンバステトの「死者の書 縦36.3cm × 長さ413.4cm
プトレマイオス時代初期、前332~前246年頃 © SMB / A. Paasch
デモティックの銘文のあるパレメチュシグのミイラ・マスク 高さ42cm x 幅31cm x 奥行き56cm ローマ支配時代、後50~後100年頃 © SMB / M. Büsing
デモティックの銘文のあるパレメチュシグのミイラ・マスク 高さ42cm x 幅31cm x 奥行き56cm ローマ支配時代、後50~後100年頃 © SMB / M. Büsing
タイレトカプという名の女性の人型棺・内棺(蓋) 高さ28cm x 幅53cm x 長さ178.5cm 第3中間期末期~末期王朝時代初期、第25~26王朝、前746~前525年頃 © SMB / S. Steiß
タイレトカプという名の女性の人型棺・内棺(蓋) 高さ28cm x 幅53cm x 長さ178.5cm 第3中間期末期~末期王朝時代初期、第25~26王朝、前746~前525年頃 © SMB / S. Steiß
タバケトエンタアシュケトのカノポス容器 高さ35~38.5cm × 幅13~13.5cm × 奥行き13.5~15.5cm 第3中間期・第23王朝、タケロト2世治世、前841~前816年頃 © SMB / S. Steiß
タバケトエンタアシュケトのカノポス容器 高さ35~38.5cm × 幅13~13.5cm × 奥行き13.5~15.5cm 第3中間期・第23王朝、タケロト2世治世、前841~前816年頃 © SMB / S. Steiß
ロータス花弁形ペンダントのネックレス 長さ56cm<br>新王国時代、前1550~前1070年頃 © SMB / S. Büchner
ロータス花弁形ペンダントのネックレス 長さ56cm
新王国時代、前1550~前1070年頃 © SMB / S. Büchner
死者を描いたミイラの覆い布 縦104cm x 幅98cm<br>ローマ支配時代、後1~2世紀頃 © SMB / S. Steiß
死者を描いたミイラの覆い布 縦104cm x 幅98cm
ローマ支配時代、後1~2世紀頃 © SMB / S. Steiß
国立ベルリン・エジプト博物館所蔵「古代エジプト展 天地創造の神話」東京富士美術館
国立ベルリン・エジプト博物館所蔵「古代エジプト展 天地創造の神話」東京富士美術館

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