「京都市立芸術大学芸術資料館収蔵品活用展「第十門第四類」mamoru「おそらくこれは展示ではない(としたら、何だ?)」phase 0」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)

「京都市立芸術大学芸術資料館収蔵品活用展「第十門第四類」mamoru「おそらくこれは展示ではない(としたら、何だ?)」phase 0」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)

名称:「京都市立芸術大学芸術資料館収蔵品活用展「第十門第四類」mamoru「おそらくこれは展示ではない(としたら、何だ?)」phase 0」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)
会期:2021年12月11日(土)–2021年12月26日(日)
  (以後、下記展覧会に引き継がれる形で展開)
  mamoru「おそらくこれは展示ではない(としたら、何だ?)」
  2022年1月4日(火)–3月21日(月・祝)
開館時間:11:00–19:00
休館日:月曜日
入場料:無料
企画:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
主催:京都市立芸術大学
助成:公益財団法人野村財団
住所:〒604-0052京都府京都市中京区押油小路町238-1
TEL:075-253-1509
URL:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)

「京都市立芸術大学芸術資料館収蔵品活用展「第十門第四類」mamoru「おそらくこれは展示ではない(としたら、何だ?)」phase 0」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)
「京都市立芸術大学芸術資料館収蔵品活用展「第十門第四類」mamoru「おそらくこれは展示ではない(としたら、何だ?)」phase 0」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)

2023年のキャンパス移転に向け、京都市立芸術大学(京都芸大)では、本学独自の「知と創造のありか」を探求し、教育・研究・創造の連携を図るための議論を進めています。京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAでは、移転後の大学の活動を念頭に置いたプログラムの一つとして、本学芸術資料館が有する芸術資料を新たな視点から調査・研究・活用することを目指した実験的な展覧会に取り組んできました。それらの展覧会で試みてきた芸術資料の「活用」に共通するのは、資料が収蔵されてから現在に至るまでの、収蔵品の背景にある/あった物事を推察し、そこから新たな語りのあり方を探ろうとする姿勢です。
2021年度は、想像を喚起する言葉やイメージ、そして歴史の中に埋もれてしまった小さな出来事に意識を向けて、全感覚を傾けそれを聴き、探究するアーティストのmamoruと協働し、〔アーカイヴ〕の声を聴き、考察することを試みます。
3ヶ月にわたって続くこのプロジェクトは、芸術資料館収蔵品活用展「第十門第四類」から始まります。「第十門第四類」とは、京都市立芸術大学の前身である各学校において、明治期から続く図書台帳の「第十門」(粉本類=模写、下絵、手本類等)の「第四類」として分類された写生用手本画を指します。
本展の主な出品作品は、これら「第十門第四類」のうち、開学当初に制作され、教育方針の変化から、早い段階であまり実用されなくなった京都府画学校の運筆手本画で構成されています。これら運筆手本画は、教材としての役割をほぼ終えた後も長らく図書として保管されてきました。やがて第二次世界大戦後、日本における美術をとりまく状況が大きく変化したこともあり「第十門第四類」は、昭和26年(1951年)の再分類時に図書台帳から「割愛」され、巻末に点数が記録されるのみとなりました。
昭和57年に本学所蔵の芸術資料の再整理が始まると、「第十門第四類」を含む非現用資料も博物館資料として登録されることになりました。古くから保管されてきた資料のうちのいくつかは歴史的資料として研究対象となり、その価値、役割を変化させました。画学校時代の粉本類も例外ではなく、絵画あるいは絵画教育の歴史を解釈するための資料として考察しようとする取り組みが、学芸員によって少しずつ進められてきました。
一度は「その他」扱いとして一括された「第十門第四類」ですが、現在に至るまで残されて再整理された結果、個々に番号を付与され、〔歴史〕を〔記述する〕ための資料となり得る〔アーカイヴ〕となりました。ただ、未だ未分化であるうえに、いくつかが時の流れの中で失われてしまったこともあり、これらの資料からは、まだ断片的な物事を窺い知ることしかできません。
しかし、130年余り前に描かれたとされる手本画の一つ一つには、研究のための資料としてだけでなく、制作した当時の教員であった画家たちの個性も垣間見られ、本画とはまた異なる魅力を感じさせられます。本展ではこれらの手本画に一枚一枚向き合い、語りかけてくる声に耳を澄まそうとする姿勢を視覚化することから始めて、〔アーカイブ〕による新たな語りの可能性を探求します。
続いて実施される、mamoru「おそらくこれは展示ではない(としたら、何だ?)」では、展覧会場と特設ウェブサイトの2箇所で資料に誘発される「思索」の視覚化を試みます。展覧会場では「第十門第四類」を引き継ぐ形で会場にmamoruの「アーティスティック・リサーチ」の〔アーカイヴ〕が入り込み、特設ウェブサイトではハイパーリンクテキストを主体にWEBのフォーマットならではの手法で連鎖的に、会期を3つに分けたphaseごとにそのビジュアルを変化させていきます。これは、資料を用いた新たな語りの可能性を探求しようとする思索の有様が視覚化された、絶えず動き続ける「何か」であり、@KCUAの展示空間とウェブサイトとの二つの場を舞台として上演されるパフォーマンスであり、さらにパンデミック以降に起こった展覧会やアーティストのリサーチのあり方の変化に端を発する、実際の展示室およびオンラインにおける展覧会の「オルタナティブ」の形の探究でもあります。物質的な資料で構成される展示空間と、非物質的な資料で構成されるウェブサイトという二つの「何か」は、互いに作用したり、離れたりしながらも常に変容しながら新たな言説(あるいは設問?)を展開させます。

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