名称:Fenna Schilling 「Through the Looking Glass」Gallery&Souvenir LAID BUG
会期:2022年4月8日(金)~2022年5月1日(日)
開廊時間 13:00〜20:00
休館日:月曜、火曜
入場料:無料
会場:Gallery&Souvenir LAID BUG
住所:〒151-0071 東京都渋谷区本町6-21-4 本町スカイハウスB102
TEL:03-6721-1505
URL:Gallery&Souvenir LAID BUG
Fennaは、ヨーロッパを中心に多くのコレクターや企業をクライアントに持つヴィジュアルアーティストであり、DJとしてもオランダの人気フェスDekmantel Festivalへ出演、インターネットラジオNTSへミックス提供するなど高い評価を得ています。
幼い頃、美術館の隣に住んでいたFennaは、美術館に所蔵された多くの古い書物に魅了されます。彼女の父親は美術館でガードマンとして勤務しており、美術館の古い書物が処分される際には、それらを個人的に保管し、彼女に与えていました。言うまでもなく、それらが現在の彼女のコラージュワークを形作る重要なソースとなっています。ベルギー留学時にフラットベッドスキャナーでの特殊なスキャニングの研究を重ねた彼女は、以後常に制作プロセスにフラットベッドスキャナーを使用しています。多くのコラージュアートは、特定のイメージを並置することで意味を生み出しますが、Fennaのコラージュワークは、特殊なスキャニングによって素材を抽象化し、素材が持つ意味を置き去りにすることで、鑑賞者との非言語的なコミュニケーションを試みた作品になっています。語弊を恐れず言い換えれば、スキャナーを絵筆のように用いた抽象絵画とでも呼べるアプローチです。
こういったスタイルは、DJとしても活動する彼女の、音楽との親密な関係性に起因していると読み解くことができます。彼女がDJとしてプレイする、アンビエント〜ブレイクビーツ、ハウスなどのダンスミュージックはそれ自体が強いメッセージを持つわけでなく、時間軸に配置されエフェクトされミックスされることによって、受け手それぞれの感情を揺さぶる、非言語的で抽象的な表現です。カンディンスキーが音楽からの影響を抽象絵画へ昇華したように、オスカー・フィッシンガーが抽象的な音楽アニメーションに取り組んだように、FennaもまたDJ的/音楽的なフィーリングをヴィジュアルアートへと昇華しているように見えます。
どこか懐かしいモチーフ、古い紙の質感やデジタルノイズ/モアレが、奇妙で美しいフォルムへと昇華される彼女の作品は、実際に多くのミュージシャンやDJから強い支持を得ており、Draaimolen Festivalのビジュアル、Healing Force ProjectやAlexis Le-Tanのレコードスリーブに採用されています。
今回、LAID BUGで展開される個展では、彼女自身によって「Through the Looking Glass」というタイトルが付けられています。これは、今回展示される作品群のコラージュ素材がガラス細工の写真を使用していることに由来していますが、同時に「不思議の国のアリス」のように彼女の内面的なワンダーランドを表現した作品だと言及されています。(さらに、このタイトルはFenna自身が影響を受けた日本のアンビエント/ミニマル・ミュージックのアーティスト、高田みどりのアルバムタイトルからの引用でもあります。)
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