名称:「井上長三郎・寺田政明・古沢岩美の時代—池袋モンパルナスから板橋へ」板橋区立美術館
開催期間:令和4(2022)年4月29日(金曜日・祝日)~6月5日(日曜日)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日観覧料無料
住所:〒175-0092東京都板橋区赤塚5-34-27
TEL:03-3979-3251
URL:板橋区立美術館
井上長三郎(1906-1995)、寺田政明(1912-1989)、古沢岩美(1912-2000)は画家を志す熱い想いを胸に上京し、戦前は池袋モンパルナス、戦後は板橋区に住居兼アトリエを構えました。日本や西洋の画家たちに憧れ、戦前に海外より紹介された、フォービスムやシュルレアリスムをはじめとする表現に刺激を受け、それぞれの画風を確立した彼らは、戦後、晩年までそれぞれの絵画を追求し続けました。激動の時代を見つめ、描き続けた3人の画家の生き様に迫る展覧会です。
井上長三郎(1906-1995)
「絵画は大衆に関心をもたれなくてはならない。そして面白くなければならない」
神戸に生まれ、満洲の大連で育った井上は、セザンヌに憧れて上京し美術学校に入ります。政治や社会に関心を持ち、問題の裏側に隠された真実を明らかにしようと描いた彼の作品は、戦中には時局にそぐわないとして撤去されたこともありました。戦後は砂川事件、ベトナム戦争などの被害者の姿、画一的で滑稽な議員たちの姿を描くことを通じて、時にはユーモアも交えて人間とは、社会とは何かを問い続けました。
寺田政明(1912-1989)
「描くゆえに我あり」
北九州に生まれた寺田は7歳の時、足の怪我のために入院した病院で若い医師が油彩画を描く姿を見たことが画家を志すきっかけのひとつとなりました。上京した彼は美術学校に通いますが、小熊秀雄や山之口貘といった詩人、長谷川利行や靉光といった画家たちとの交友も彼の芸術をかたち作りました。寺田は戦前より木の芽や鳥や虫、魚といった命あるものを慈しむように描いています。生き物を描くこと、絵があることで今の自分があると繰り返し述べています。
古沢岩美(1912-2000)
「芸術とは何か、美とは何か、今だに正体はつかめていない」
佐賀に生まれた古沢は幼少期より絵を好み、16歳の時に上京し、同郷の画家で当時、東京美術学校の教授であった岡田三郎助の書生となります。その後、22歳で岡田邸を出た古沢は画家たちの集う「池袋モンパルナス」を拠点とし、シュルレアリスムをはじめとする前衛絵画に関心を寄せます。従軍し、捕虜となった後に復員した古沢は戦後、自らの従軍体験を元に戦争とエロスをテーマに美術界に議論を巻き起こしながらも力強く描き続けました。
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