名称:「古九谷と再興九谷Ⅱ」石川県立美術館
会期:2022年8月6日(土) ― 2022年9月5日(月)
開館時間:9:30 ― 18:00(入場は17:30まで)
休館日:会期中無休
会場:第2展示室
観覧料:
一般 370円
大学生 290円
高校生以下 無料
65歳以上 290円
住所:〒920-0963石川県金沢市出羽町2-1
TEL:076-231-7580
URL:石川県立美術館
古九谷を論ずる際に避けて通れないのが、産地問題です。一時期は、古九谷を有田産とする説が有力と紹介されたこともありましたが、有田産説の根拠となった素地の理化学分析や発掘成果の評価に問題があることから、現在、こうした極論は一部に止まっています。
有田の窯跡から、古九谷に類似する陶磁片が発掘されたにもかかわらず、古九谷の様式が再興九谷を経て今日まで、加賀の地にのみ継承されている事実は、古九谷の独創性は加賀の文化風土と一体のものであることの、何よりの証左ということができます。つまり有田で生産されたのは古九谷の模倣であり、その点では「古九谷様式」との呼称は妥当です。1650年代以降、有田では確立された色絵磁器の技法を展開する方向性を摸索するために、古九谷を参照したことは十分考えられます。
藩内に色絵磁器の需要がありながらも、加賀藩が古九谷の存続に慎重だったことは、前号で述べた古九谷誕生の背景に関係があると考えられます。しかし19世紀にはいり、磁器の調達を京都や九州に頼っている経済的損失への反省もあり、加賀藩は本格的な色絵磁器生産に着手します。京都の名工、青木木米を招いて1807年に開窯された春日山窯は、古九谷を志向していたと考えられますが、藩の殖産興業への意向に木米は同調できなかったようです。しかしその後、芸術性と経済効率とのバランスに揺れながらも、古九谷の独創的な精神は、若杉窯や吉田屋窯をはじめ再興九谷諸窯に受け継がれていきました。
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