名称:「デミタスカップの愉しみ」八王子市夢美術館
会期:2022年9月17日(土)〜2022年11月27日(日)
会場:八王子市夢美術館
時間:10:00〜19:00 (最終入場時間 18:30)
休館日:月曜日
観覧料:一般 900円
学生(高校生以上)・65歳以上 450円
中学生以下 無料
住所:〒192-0071東京都八王子市八日町8-1 ビュータワー八王子2F
TEL:042-621-6777
URL:八王子市夢美術館
濃いめのコーヒーを飲むためのデミタスは、19世紀ヨーロッパにおいてテーブルウェアの発展、コーヒー・カフェ文化の浸透などを背景に数多く生み出されました。しかしデミタスの起源は諸説あり、はっきりとしたことはわかっていません。近年の歴史的研究によると、「1700年代(18世紀)にフランスに誕生」した「レギュラーのティーカップ、コーヒーカップ、ココアカップのおよそ半分のサイズ」の「陶磁器、ガラスのカップ」とされています。
18世紀半ば、チョコレート飲料(カカオ、ココア)の携帯用カップとして、のちのデミタスに近い大きさのカップ(幅・高さともに7cm弱)が作られました。持ち運びに適したコンパクトなサイズ感と、チョコレート飲料が当時、大変貴重で王侯貴族だけの嗜好品だったことから、そのカップには高級感があり、最も小さな陶磁器として人気の製品となりました。デミタスの多くが一個製作、一個販売が基本だったことから、すでにヨーロッパ各地に存在していた陶磁器の窯元はデザインや技巧、絵付けに趣向を凝らした多彩なデミタスを生みだしていきました。
その後、産業革命などを追い風に西洋の陶磁器文化は目覚ましい発展を遂げ、中産階級、大衆にまで広がりを見せます。また時を同じくして開国後間もない日本から、欧米人好みの日本製の小型カップ=デミタスが輸出されるようになります。すでに1850年代ごろから、シノワズリ(中国趣味)に代わって流行し始めていたジャポニスム(日本趣味)は、産業革命で近代化する欧米各国において、美術的な流行にとどまらず、商業的にも取り入れられ実用性と鑑賞性をあわせもつテーブルウェアにおいて、みごとに具現化されました。ジャポニスムの影響を受けて、アール・ヌーヴォー、続くアール・デコが展開され、時代の潮流に乗ったデミタスは、デザインのバリエーションをさらに無限大にまで広げていきました。
またこの頃になると、印象派や世紀末芸術、エコール・ド・パリなど、パリではコーヒーや酒を飲みながら自由に新しい芸術や政治を論じ、時代を動かす結社や運動を誕生させるカフェが生まれます。こうした文化的背景に加え、エスプレッソをはじめとするコーヒー抽出法(飲み方)のバリエーションが増えたこともカップの多様性が広がった要因といえます。デミタスの隆盛の背景には、芸術活動の発展やコーヒーの味わい方の広がりがあったことは無視できません。
本展では、19~20世紀に欧州の名窯が生んだ質の高いデミタスをはじめ、創造性の輝く逸品を村上和美氏のコレクションを中心に約340点紹介します。
※写真撮影スポットあり
※本展覧会オリジナルグッズあり(A4クリアファイル、メモ帳、マグネット、ピンバッジ、トートバッグほか)
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