「MAMリサーチ009:正義をもとめて―アジア系アメリカ人の芸術運動」森美術館

ボブ・シャン 《セントラルパークで公演するクリス・イイジマとジョアン・ノブコ・ミヤモト(ニューヨーク、1971年2月)》 Courtesy: Bob Hsiang Photography

名称:「MAMリサーチ009:正義をもとめて―アジア系アメリカ人の芸術運動」森美術館
会期:2022年6月29日(水)~2022年11月6日(日)
   予約優先制
開館時間:10:00 〜 22:00 火曜日は17:00まで
入場料:[平日]
    一般 1,800円(1,600円)
    学生(高校・大学生)1,200円(1,100円)
    子供(4歳~中学生)600円(500円)
    シニア(65歳以上)1,500円(1,300円)
    [土・日・休日]
    一般 2,000円(1,800円)
    学生(高校・大学生)1,300円(1,200円)
    子供(4歳~中学生)700円(600円)
    シニア(65歳以上)1,700円(1,500円)
会場:森美術館
主催:森美術館
企画:アレクサンドラ・チャン(ラトガーズ・ニュージャージー州立大学美術史部門准教授)、矢作 学(森美術館アシスタント・キュレーター)
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)

nca | nichido contemporary artはアメリカ人アーティスト、タミー・グエンによる日本初個展「The Gale / 暴風」を開催いたします。
本展の新作ペインティングシリーズは、装飾写本の様式を参考に、グエンの言葉を借りると、「熱帯に飲み込まれたカトリシズムの世界」を表現しています。計11点の作品は、中世の装飾写本167点が掲載されている書籍「装飾写本: 400年から1600年までの世界で最も有名な装飾写本*」に登場する場面やその断片を切り取り取っています。一連のカトリシズムの物語を出発点とし、「暴風」では、自然の力と地政学的戦争によって消費されながらも、それに絶える宗教的なモチーフの世界を表現しています。グローバル・サウス、特に彼女の両親の母国であるベトナムの日常生活の様々な側面にカトリックがどのように根付いているのかを考察し、グエンはこの布教を 「自然だけではなく、現代の地政学的闘争にも耐えるほど強力な植民地キャンペーンである 」とみています。
また、グエンは伝統的な装飾写本が工芸と神話が互いに影響、依存し合っていることにインスピレーションを得ています。写本の職人は呼吸の伝達を通して金を接着する糊を再び活性化させ、その生命力は聖霊を文字やイメージに移すとも言われ、これらの宗教的な構成をより神聖なものにしています。写本の表面は完全に平面であるものの、照明の角度によって金属の破片が立体的になり、まるでページ上に金が浮き上がっているようにみえます。ここで物理的に証明されたものが神話的な枠組みのなかに存在し、グエンの作品における技術と主題との衝突がほどよい緊張感をもたらします。彼女の絵画の表面もまたフラットで、人物と前景が互いに揺れ動いています。緑豊かで濃密な構成の中に、物語の構造と、対象と環境のもつれによる問題が絡み合い、自然や植民地主義、カトリシズムの力を強調する金の痕跡が浮かびます。このシリーズを通じて、彼女は「風」を概念的な筋道とし、マークメイキングや輪郭の形成を通して構図を探り、また自然現象を物体の相互作用を理解するためのツールとして風景を構築します。古代の木々もまた長い時間をかけて風によって支えられ、自然も聖書と同様に崇高な力を持つということはグエンの最近の研究テーマの中心です。グエンは絵画のなかで、西に向かうヘリコプターの群れで人工的な風を、東に向かう赤い海上旗で暴風を描いています。地政学的な戦争と気候変動による風は、カトリックの聖書と古代の樹木を背景に衝突し、歴史を通して人と自然の混乱のなかで適応しながら地盤を強固にしているかのようです。

ボブ・シャン 《セントラルパークで公演するクリス・イイジマとジョアン・ノブコ・ミヤモト(ニューヨーク、1971年2月)》 Courtesy: Bob Hsiang Photography
ボブ・シャン 《セントラルパークで公演するクリス・イイジマとジョアン・ノブコ・ミヤモト(ニューヨーク、1971年2月)》 Courtesy: Bob Hsiang Photography

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