石田省三郎 「an ironical moment」IG Photo Gallery

石田省三郎 「an ironical moment」IG Photo Gallery

名称:石田省三郎 「an ironical moment」IG Photo Gallery
会期:2023年3月7日(火)~2023年3月25日(土)
開館時間:11:00 〜 19:00
休館日:日曜日、月曜日、祝日
入場料:無料
会場:IG Photo Gallery
住所:〒104-0036 東京都中央区銀座3-13-17 辰中ビル302 石田法律事務所内
URL:IG Photo Gallery

IG Photo Galleryでは2023年3月7日(火)より石田省三郎展「an ironical moment」を開催いたします。
前回の「映像展」で映像作品を発表した石田が、動画から切り出した「写真」を初めて展示する作品展です。
カメラに動画撮影機能が組み込まれ、SNSで写真と動画のどちらも共有できるいま、写真と動画の境界は曖昧になりつつあります。動画作品を制作する写真家は多く、写真と動画を使ったインスタレーションも珍しいものではなくなりました。
石田は2021年から動画作品に制作に着手し、毎週のように10~15分の動画を制作してきました。
「unknown diary」と題されたそのシリーズは、現在(2月16日現在)まで39を数え、2月に当ギャラリーで開かれた「映像展」では2022年分を編集した3時間9分56秒の『unknown diary』を発表しました。また、2022年10月のTOKYO ART BOOK FAIRでは動画から切り出した写真を構成し、今回の展示に向けた試行の一環として写真集『unknown diary』を発表しています。
動画作品『unknown diary』は日記という形式ゆえ、被写体は多岐にわたり、日常で目に留まったものを撮るという、写真におけるスナップショットに近い撮影方法です。しかしスナップショットの写真美学は、現実と向かい合い、一度きりのシャッターチャンスをものにするというものです。動画から写真を切り出す行為は、従来の写真美学に照らせば「邪道」との批判を免れないでしょう。
しかし、実際に撮影を行っている石田の意識は単純な写真・動画の二元論には落ち着きません。動画を撮影しながらも、時には写真として切り出すことが意識された「長めのシャッターチャンス」をすくい取ってもいるのです。
石田にとって写真と動画の撮影行為の境界は曖昧であり、完全に切り分けられるものではありません。その意識は現代の私たちの誰もが共有できるものでもあります。そして、写真から出発した石田は、動画から切り取った写真と、カメラで撮影した写真の間にどのような違いがあるのかを私たちに問いかけます。
石田省三郎は2018年にIG Photo Galleryを設立して以来、東京、大阪、名古屋、神奈川でコンスタントに作品を展示してきました。築地市場跡のモノたちに目を向けた「TSUKIJI JONAI 2018」(2020)や、住宅地の夜を長時間露光で撮影した「Nights,Walking:Chigasaki」(2022)のように写真の歴史を参照した正統的な作品がある一方で、東京の交差点の四方向を撮影し暗合成した「Crossing Ray」(2019)や、ピンホールカメラを手持ちし、人工光の海となる夜の銀座を写した「Integral」(2021)などの実験的な作品があります。
今回の「an ironical moment」は、デビュー作『Radiation Buscape』と関連した作品として見ることができます。『Radiation Buscape』はバスの中から福島県の帰還困難区域を撮影したスナップショット的な手法の作品ですが、移動するバスの中からの撮影は撮影者のコントロールを限定した、不自由なスナップショットとでも呼ぶべきものでした。一方、「an ironical moment」は、アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真集『決定的瞬間(The Decisive Moment)』を連想させるタイトルからもわかるように、スナップショットの写真美学を参照しつつ、その美学への新たなアプローチがテクノロジーの進歩によって生まれている現代を反映しています。
また、『Radiation Buscape』がバスの中から撮影するという非特権的で日常的な手法でありながら、被写体が社会性を帯びていたように、「an ironical moment」もまた、作家の現代の日本社会に対する視点を読み取ることができるでしょう。
なお、3月11日にはトークセッションが予定されています。

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