「花の回廊 ~〈黒書院〉牡丹の間の障壁画~」元離宮二条城

「花の回廊 ~〈黒書院〉牡丹の間の障壁画~」元離宮二条城

名称:「花の回廊 ~〈黒書院〉牡丹の間の障壁画~」元離宮二条城
会期:2023年04月20日(木) 〜 2023年06月18日(日)
会場:元離宮二条城(二条城障壁画 展示収蔵館)
時間:9:00~16:30(16:45閉館)
   ※二条城への入城受付は16:00までとなります
料金:100円
   ※未就学児無料
   ※京都市内に在住・在学の小中学生、及び京都市内在住の70歳以上の方は入館料無料(学生証、敬老乗車証等、住所・年齢を確認できるものをご提示ください)   ※各種障害者手帳等をお持ちの方は入館料無料
   ※二条城への入城料が別途必要です
住所:〒604-8301京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
TEL : 075-841-0096
URL:元離宮二条城

二条城二の丸御殿障壁画(重要文化財)原画を保存・公開している二条城障壁画展示収蔵館。令和5(2023)年度の春季展では、二の丸御殿〈黒書院〉内の「牡丹の間」を飾る障壁画に注目してご紹介します。
二の丸御殿の牡丹の間は〈黒書院〉の東廊下にあたり、その北側の壁や西側の襖(ふすま)の《牡丹図》は、寛永(かんえい)3年(1626)の大改修時に制作されたものです。
しかし、一連の《牡丹図》の中で壁に貼られた2面は、他の画面に比べて古い様式を示しており、筆者だけでなく描かれた時代も異なる可能性を残しています。徳川家康(1542~1616)が将軍になった慶長(けいちょう)年間には、この《牡丹図》2面のように、雲や岩などを手前から奥に配置して奥行きを示す描き方が見られたので、未だ資料がほとんどない家康時代の御殿の障壁画だったのでは?と想像の翼を広げさせてくれます。
寛永3年の障壁画制作では、二の丸御殿の廊下すべてに花鳥草木が描かれましたが、幕末までに牡丹の間の《牡丹図》のみを残して失われ、現在の御殿は、明治30年代に制作された障壁画が飾っています。
一方、東側の戸襖(とぶすま)は、江戸時代中期には障壁画が貼り付けられていなかったところ、明治19年(1886)に、元は御殿の別の部屋の襖絵であった《梅図》が改装されて貼り付けられました。この二年前の明治17年(1884)に二条城は皇室の離宮となることが決定し、その翌年から修理事業が始まりました。
元来、《梅図》のうち紅梅は〈大広間〉の、白梅は〈遠侍〉の、それぞれ納戸(なんど)の入り口側の襖絵でした。〈大広間〉の納戸は四の間の西側の襖を開けたところにあります。〈大広間〉四の間の岩に止まる鷹が描かれている襖の裏面であった紅梅の画面には、鷹(たか)を描く下書きの線が透けて見えます。透けて見える鷹は、下書きを描き始めたものの不採用となり、その上から金箔を貼られて、紅梅図の一部になったと考えられます。
御殿の変遷(へんせん)を物語り、障壁画制作の現場を垣間見せる花の障壁画を間近からお楽しみください。

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