「富本憲吉展のこれまでとこれから」奈良県立美術館

「富本憲吉展のこれまでとこれから」奈良県立美術館

名称:「富本憲吉展のこれまでとこれから」奈良県立美術館
会期:2023年7月8日(土)~2023年9月3日(日)
会場:奈良県立美術館
時間:9:00~17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日:月曜日、7月18日(火)
   ※ただし7月17日は開館
観覧料:一般 400円(300円)
   大・高生 250円(200円)
   中・小生 150円(100円)
   ※( )内は団体料金(20人以上)
   ※次の方は会期中無料で観覧できます
   教職員に引率された奈良県内の小・中・高校及びこれに準ずる学校の児童・生徒
   身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方と介助の方1人
   65歳以上の方
   外国人観光客、留学生
   毎週土曜日は小・中・高校及びこれに準ずる学校の児童・生徒
住所:〒630-8213奈良県奈良市登大路町10-6
TEL:0742-23-3968
URL:奈良県立美術館

赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺 1953年 奈良県立美術館蔵
赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺 1953年 奈良県立美術館蔵

1973(昭和48)年3月、竣工した奈良県立美術館の開館を飾ったのは「富本憲吉展」でした。約400件もの作品により奈良県出身の日本近代陶芸の巨匠・富本憲吉(1886―1963)の足跡を振り返りました。それから半世紀の間、同館は継続して富本の活動を取り上げ、作品の収集に努めてきました。
富本の陶業は、楽焼制作を皮切りに土焼・白磁・染付と多様な創作活動を展開した大和時代(安堵時代)、それまでに培った技術を洗練させ、かつ色絵磁器へと作域を広げた東京時代、そして金銀彩技法を完成させ華麗にして品格ある作品を作り出した京都時代という3つの時代に分類されます。この50年にわたる陶業は、独自の模様の探求、造形を通した美の表現、量産の試みといった課題に取り組んだ道のりでもありました。
これまでに多くの展覧会が開催されるなかで、陶芸家としての業績はもちろんのこと、陶芸に留まらない創作活動の全容にも目が向けられるようになり、デザイナーの先駆者としての側面や窯業地に赴いての活動の様子など、多角的に研究が進んでいます。また日本近代美術において富本の果たした役割を考える視点からも、今後の研究の広がりが期待されます。
開館50周年にあたり開催する本展覧会では、富本憲吉をテーマとする奈良県立美術館の展覧会歴をたどりながら、彼の生涯と活動を改めて振り返ります。あわせてその軌跡が示す富本憲吉研究の展望を考える機会となることを目指すものです。
◆ 富本憲吉のプロフィール
1886(明治19)年、現在の奈良県生駒郡安堵町に生まれました。1904(明治37)年に東京美術学校(現・東京藝術大学)図案科に入学し、1908(明治41)年からはロンドンに留学。帰国後は木版画や書籍の装幀、染織品や革製品の制作などを手がけ、図案を軸にした芸術活動を展開しました。やがて親友のバーナード・リーチの影響で1913(大正2)年に楽焼の制作を始め、ほぼ独学で陶芸の道を歩み始めました。1926(大正15)年、東京に転居。白磁や染付を中心に充実した作陶を続け、1936(昭和11)年の九谷滞在以後は華麗な色絵磁器の作品を次々と発表します。終戦後は安堵への一時帰郷を経て京都に拠点を移し、金銀を同時に焼き付ける色絵金銀彩の技法を完成させました。1955(昭和30)年、「色絵磁器」で重要無形文化財技術保持者(いわゆる人間国宝)に認定され、1961(昭和36)年には文化勲章を受章しました。1963(昭和38)年逝去。「模様から模様をつくるべからず」という信条のもと、既成の模様によらず、独自の模様を創案することに情熱を注ぎました。また造形による美の表現にも着目し、作者自身が成形することの重要性を説きました。陶芸の近代化を牽引した作家の一人です。

色絵椿模様飾箱 1941年 京都国立近代美術館蔵
色絵椿模様飾箱 1941年 京都国立近代美術館蔵
楽焼草花模様蓋付壺 1914年 奈良県立美術館蔵
楽焼草花模様蓋付壺 1914年 奈良県立美術館蔵
白磁八角蓋付壺 1932年 国立工芸館蔵 撮影:エス・アンド・ティフォト
白磁八角蓋付壺 1932年 国立工芸館蔵 撮影:エス・アンド・ティフォト
赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺 1953年 奈良県立美術館蔵
赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺 1953年 奈良県立美術館蔵

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