「林武史退任記念展 石の勝手」東京藝術大学大学美術館

「林武史退任記念展 石の勝手」東京藝術大学大学美術館

名称:「林武史退任記念展 石の勝手」東京藝術大学大学美術館
会期:2023年9月30日(土)〜10月15日(日) 
会場:東京藝術大学大学美術館
観覧料金:無料
休館日:10月2日、10月10日
住所:〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL:東京藝術大学大学美術館

本展は、長きにわたり東京藝術大学美術学部彫刻科において教鞭を執ってきた林武史の退任記念展。林は「空間にものが存在するとは、どのように解釈すればよいのか」という問いかけを起点とし、1980年第後半より彫刻家としての活動を開始した。その後、この問いかけは、「空間」「身体」「物質」「記憶・時間」というテーマを内包した彫刻の実践へと展開されていく。
一方、林は学内において上記のテーマに沿った4つの展覧会(「空間の変容」1997、「彫刻の身体」2003、「物質と彫刻」2013、「時間/彫刻」2019)を企画し、学内外の彫刻科との協同により、彫刻とは何かという問いを深度化させるとともに、後進の育成に尽力してきた。
「石の勝手」と題された本展は、林が文部省在外研修員(パリに滞在)としての滞在を終えた1999年以降の代表作と新作により構成されている。パリへの渡航前と渡航後の自身の仕事について林は、「素材/手法に関して変化はなかったが、さまざまな事象の受容において、自分の中で大きな変化があった」と語っている。それは、世界共通の言語(彫刻)を追い求めることから一旦距離を置き、この国における風土(風景・湿度・人との関わり等)を思慮することで起こった変化だったのではないだろうか。
石の性質を受け入れ、しかし、決して素材と馴れ合うことのない近接関係。この、一定の距離感を保ちながら繰り返される想察とその跡形は、林の問いそのものだと言えよう。物質の勝手、作者/観者の身体性、風土、それぞれの偶然を招き入れ、予測できない多くの事象を孕む今回の作家の試みを体感できる。

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