名称: 2023年度企画展Ⅰ「堀尾貞治 あたりまえのこと 千点絵画」BBプラザ美術館
会期:2023年10月17日(火) ~ 2023年12月24日(日)
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
入館料:一般400円/大学生以下無料
※ 65歳以上の方、障がいのある方とその付添いの方1名は半額
開催者:BBプラザ美術館、株式会社シマブンコーポレーション
住所:〒657-0845兵庫県神戸市灘区岩屋中町4-2-7 BBプラザ2F
TEL:078-802-9286
URL:BBプラザ美術館
美術家・堀尾貞治(ほりお さだはる 1939-2018、神戸市兵庫区生まれ)は美術教師との出会いや民芸運動に尽力した叔父・堀尾幹雄の影響により、15歳の時に一生美術をやると決心しました。
中学卒業後から定年を迎えるまで三菱重工業神戸造船所で働きながら、創作活動と仕事を両立。多い時には年間100回以上という超人的なペースで、個展やグループ展、パフォーマンスを国内外で行いました。
前衛美術グループ「具体美術協会」(※1)には1965年に初出品し、翌年から1972年の解散時まで在籍。1985年に目に見えない「空気」という存在を「あたりまえのこと」と表現し、生涯の創作テーマにすると決意。身体的行為から生み出す「空気」を可視化するための様々な美術表現に挑みつづけました。
BBプラザ美術館では、2014年に堀尾の《色塗り》(※2)作品約3,000点を展示し、会期中に様々なパフォーマンスを行う「堀尾貞治あたりまえのこと〈今〉」展を開催しました。
約10年ぶりの開催となる本展では、堀尾が2016年に奈良県大和郡山市にある喜多ギャラリーで全6回に亘り取り組んだ千点の絵画を描くプロジェクト《千Go千点物語》(※3)の作品群を紹介します。
元々は〈千号サイズ(※4)の絵を描きたい〉という堀尾の言葉に、〈千号ではないが、廃棄パネルなら千点入手できる〉と同ギャラリーが呼応したことから始まったこの取り組みは、2016年の6日間(2月15日、3月18日、5月22日、6月26日、9月4日、10月4日)で、凄まじい集中力と瞬発力をもって描かれました。
支持体として使われた使用済みの展示会用木工パネル(廃棄パネル)は、広告等の様々な出力シートが貼られ、寸法もサブロク版(90㎝×180㎝)を半分にカットした90cm角の正方形約600点を中心に、大きいもの、小さいもの、四角形、三角形、台形とひとつとして同じものがありません。
対象の持ち味を瞬時に見極めて描くことは、堀尾が1997年から2018年に亡くなる前日まで毎朝継続していた「一分打法」(※5)による創作鍛錬の賜物であり、集大成と言えるでしょう。
ペンキやアクリル絵具、墨で描くだけでなく、鈍器で叩く、火で炙るなど、様々な技法を駆使して生み出された作品を通して、自己との対話と制作現場における不断の挑戦により、極限まで研ぎ澄ませた堀尾の創作精神をぜひ体感してください。
※1 1954年に画家・吉原治良を中心に結成された前衛美術グループ(1972年解散)。関西を拠点に、国内外でさまざまな実験的活動を展開し、国際的にも高い評価を受ける。グループ名は、「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示したい」(機関誌『具体』創刊号より)という思いが込められている。
※2 木片やパレットなど、身の周りのあらゆるものに、毎日1色ずつ塗り重ねていく《色塗り》は、一見意味を持たない単純な行為だが、アトリエの物質自体を行為の集積造形として現前化させるものであり、日々の制作活動を始める前の儀式ともいえる。
※3 稲垣足穂『一千一秒物語』にかけて、溝渕眞一郎氏(喜多ギャラリー)が命名。今年は『一千一秒物語』刊行100年目にあたる。
※4 約666.6㎝×497.0㎝
※5 制作に際して、極力思考が介在する余地を排除するため、量と速度を極端に重要視した独自のドローイング技法。山積みの画用紙に様々な画材を用いて描き、実際には1分かからず数秒から数十秒で仕上げることも多い。名称は王貞治の「一本足打法」に由来。
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