淺井真至 「おはよう、出航です」アートルーム企画室

淺井真至 「おはよう、出航です」アートルーム企画室

名称:淺井真至 「おはよう、出航です」アートルーム企画室
会期:2023年11月23日(木)〜2023年12月3日(日)
開館時間:13:00 〜 19:00
   金曜日・土曜日は20:00まで
入場料:無料
会場:アートルーム企画室
住所:〒150-0012 東京都渋谷区広尾2-13-6 ARK1001
TEL:090-2218-1907
URL:アートルーム企画室

固有の場所を持たないギャラリー gallery ayatsumugiによる企画として、淺井真至の個展を開催します。
淺井真至の水彩画には、夜中におしゃべりを始めそうなキャラクターのようなモチーフが描かれています。長野の木彫りやこけしなど、民藝のアイテム、湖水や木々などの自然が、複合・融合的に画面に立ち現れ、水彩独特の水と色の揺らぎを用いて表現されています。
この夏、彼が暮らす信濃大町を訪れて、少し驚きました。街のそこここに、淺井の水彩画に現れるイメージのような長野独特の木彫りの彫刻があり、アトリエの中にはこけしやどこかのお土産物が、これまた水彩画から飛び出てきたように鎮座していたのです。創作と暮らしは「卵が先か、鶏が先か」。
「土地の暮らしの中から立ち上がるイメージが、人間を通じて表現されたものに目がいく」と淺井真至はいいます。祭りや伝統的な舞、方言、食べ物。風土といい表されるような事象です。一方​で、都会育ちの淺井の心象風景には、初期のファミコンがバグで乱れた画面やエイトビートの電子音もまた、等価に刻み込まれているのだといいます。
世界は二元論で語られがちです。実在するものとしての自然があり、それに相対するように、内在する精神があると。しかし、フッサールの「現象学」では、二元論を超えて、「経験に現れていること」を出発点にしています。ごく単純に例えてしまえば、ありのままに見てみれば、物としての自然と精神とは、相互共感のもとに物語をつむぐように存在しているのだという立場です。
淺井真至の制作もまた「ありのままに見る」を出発点にしています。色や形、そのものが持つ雰囲気、言語化されているもの、音。数々の事象を、共感覚で読み解き、自身と事象とのあいだに生まれ続けている小さな物語を描いているのです。
現在も淺井は長野県大町市で暮らしを営みながら、アトリエを構えて、アーティスト活動のみならず、原始感覚芸術祭や信濃大町あさひAIRの運営にも参画。大町に滞在するアーティストのサポートをしながら、共同制作などを通じて研鑽を続けています。
これまでは地方のアートプロジェクトを中心に活動を展開してきましたが、今年6月、東京吉祥寺のアートスペース「オンゴーイング」にて、遠藤一郎ディレクションで淺井裕介との共作などを展示し、高い評価を獲得しました。さらなる飛躍が期待できるアーティストです。

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