「ホー・ツーニェン エージェントのA」東京都現代美術館

「ホー・ツーニェン エージェントのA」東京都現代美術館

名称:「ホー・ツーニェン エージェントのA」東京都現代美術館
会期:2024年4月6日(土)~2024年7月7日(日)
会場:東京都現代美術館
時間:10:00~18:00 (最終入場時間 17:30)
休館日:月曜日、4月30日(火)、5月7日(火)
   ※ただし4月29日、5月6日は開館
観覧料:一般 1,500円(1,200円)
   大学生・専門学校生・65歳以上 1,100円(880円)
   中高生 600円(480円)
   小学生以下 無料
   ※( ) 内は20名様以上の団体料金
   ※本展チケットで「MOTコレクション」も観覧できます
   ※小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です
   ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付添いの方(2名まで)は無料になります
   ※ 毎月第3水曜日(シルバーデー)は、65歳以上の方は年齢を証明できるものを提示していただくと無料になります
   ※家族ふれあいの日(毎月第3土曜日と翌日曜日)は、18歳未満のお子様をお連れの都内在住の保護者2名まで、観覧料が半額になります(保護者の方は都内在住を証明できるものを提示)
住所:〒135-0022東京都江東区三好4-1-1
TEL:03-5245-4111(ハローダイヤル)
URL:東京都現代美術館

《一頭あるいは数頭のトラ》2017 年、映像スチル
《一頭あるいは数頭のトラ》2017 年、映像スチル

ホー・ツーニェンは、東南アジアの歴史的な出来事、思想、個人または集団的な主体性や文化的アイデンティティに独自の視点から切り込む映像やヴィデオ・インスタレーション、パフォーマンスを制作してきました。既存の映像、映画、アーカイブ資料などから引用した素材を再編したイメージとスクリプトは、東南アジアの地政学を織りなす力学や歴史的言説の複層性を抽象的かつ想起的に描き出します。そのようなホーの作品は、これまでに世界各地の文化組織、ビエンナーレなどで展示され、演劇祭や映画祭でも取り上げられてきました。
国内でも、東京都現代美術館で開催した「他人の時間」展(2015年)を含めた多くの展覧会に参加し、近年は国際舞台芸術ミーティング in 横浜(2018年、2020年)、あいちトリエンナーレ2019(2019年)、山口情報芸術センター[YCAM](2021年)、豊田市美術館(2021年)で新たな作品を発表し話題を呼びました。
本展では、ホーのこれまでの歴史的探求の軌跡を辿るべく、最初期の作品から6点の映像インスタレーション作品を展示するとともに、国内初公開となる最新作を紹介します。ホーが監督と脚本を務めたデビュー作《ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり》(2003年)は、シンガポールという国名の由来「シンガプーラ(サンスクリット語でライオンのいる町)」とその地を命名したとされるサン・ニラ・ウタマに関する諸説を巡りながら、イギリス人植民地行政官スタンフォード・ラッフルズを建国者とする近代の建国物語を解体します。3Dアニメーションを用いた《一頭あるいは数頭のトラ》(2017年)では、トラを人間の祖先とする信仰や人虎にまつわる神話をはじめ、19世紀にイギリス政府からの委任で入植していた測量士ジョージ・D・コールマンとトラとの遭遇や、第二次世界大戦中、イギリス軍を降伏させ「マレーのトラ」と呼ばれた軍人山下奉文など、シンガポールの歴史における支配と被支配の関係が、姿を変え続けるトラと人間を介して語られます。
ホーは他にも、既存の映像を転用し、マレー半島の近現代史とその編纂に影響を与えた人物に焦点を当てた作品を制作しています。第二次世界大戦中、マラヤ共産党総書記を務めながら、イギリス、日本、フランスの三重スパイとして暗躍したライ・テックを取りあげた《名のない人》(2015年)、マラヤ共産党とマラヤ危機について、党の機密情報に基づいた文献を残した、ゴーストライターとも言われているジーン・Z・ハンラハンを描いた《名前》(2015年)は、いくつもの映画の断片をつなげ、複数のイデオロギーに介在した謎多き人物に、同一性をもたせることなく、その内側に迫ります。
これらの作品を生み出す基盤となるプロジェクトが、2012年から進行中の《東南アジアの批評辞典》です。幅広いソースから抽出された東南アジアに関連するAからZのキーワードとイメージが、アルゴリズムによって都度組み合わされる映像は、東南アジアというその呼び名が想起させる総体に抗う多層性、複数性を描き出します。近年日本で制作した作品からは、山口情報芸術センター[YCAM]とのコラボレーション作品《ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声》(2021年)を展示します。VRと6面の映像で構成された本作では、西洋主義的近代の超克を唱え、大東亜共栄圏建設について考察した京都学派の哲学者たちの対話、テキスト、講演などが現前します。VRでは、戦争の倫理性と国家のための死についての議論が行われた座談会から、西田幾多郎の「無」の概念を象徴する抽象的空間まで、京都学派の思想と哲学者たちの主観性を体現する空間に没入することができます。

《名のない人》2015 年、映像スチル
《名のない人》2015 年、映像スチル
《東南アジアの批評辞典》2012 年-、映像スチル
《東南アジアの批評辞典》2012 年-、映像スチル
《ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声》2021 年、展示風景
《ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声》2021 年、展示風景
《T for Time》(邦題未定)2023 年、映像スチル
《T for Time》(邦題未定)2023 年、映像スチル
《T for Time:Timepieces》(邦題未定)2023年、映像スチル
《T for Time:Timepieces》(邦題未定)2023年、映像スチル
《ウタマ―歴史に現れたる名はすべて我なり》2003 年、映像スチル
《ウタマ―歴史に現れたる名はすべて我なり》2003 年、映像スチル

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