「三島喜美代 ― 未来への記憶」練馬区立美術館

名称:「三島喜美代 ― 未来への記憶」練馬区立美術館
会期:2024年5月19日(日)〜7月7日(日)
会場:練馬区立美術館
開館時間:10:00 18:00 入館は 17:30まで)
料金:一般 1,000円
   高校・大学生および 65~74歳 800円
   中学生以下および 75歳以上無料
   ※一般以外の方(無料、割引対象者)は年齢等の確認できるものを受付にてご提示ください。
休館日:月曜日
住所:〒176-0021東京都練馬区貫井1-36-16
TEL:03-3577-1821
URL:練馬区立美術館

三島喜美代 《覇》 1960年 油彩、画布 個人蔵
三島喜美代 《覇》 1960年 油彩、画布 個人蔵

三島喜美代(1932-)は、絵画を出発点に現代美術家としての活動を1950年代にスタートさせました。60年代には新聞や雑誌などの印刷物をコラージュした作品やシルクスクリーンを用いた平面作品を制作していましたが、70年代に入ると表現媒体を一転、シルクスクリーンで印刷物を陶に転写して焼成する立体作品「割れる印刷物」を手掛け、大きな注目を集めます。
日々発行され、膨大な情報をあふれさせる印刷物と、硬く安定しているかに見えながら、割れやすく脆い陶という素材を組み合わせることで、氾濫する情報に埋没する恐怖感や不安感が表現されました。
しかし、大量の新聞や雑誌がすぐに消費されてゴミとなるように、情報からゴミへと三島の問題意識も次第に移っていき、空き缶や段ボールなど身近なゴミを題材に陶で再現した作品、産業廃棄物を高温で処理した溶融スラグを素材とする作品を発表しました。近年は、自ら集めた鉄くずや廃材を取り込んだ作品制作も行っています。本展覧会は、70年にわたる三島の創作の軌跡を、主要作品を通して概観するものです。大量消費社会や情報化社会へ厳しい視線を投げかけつつも、情報やゴミを異化作用を通して造形表現へと転化させた三島作品は、日々の暮らしの中から遊び心をもって生み出されてきました。
会場では、初期のコラージュ作品から、「割れる印刷物」のオブジェの数々、環境に配慮した素材による近作などが並ぶなか、ハイライトとして三島の代表作であり、最大規模のインスタレーション作品≪20世紀の記憶≫を展示します。ぎっしりと床に敷き詰められた大量の耐火レンガ・ブロックから成るこの作品は、各レンガの表面に三島が20世紀の100年間から抜き出した新聞記事が転写され、文字通り20世紀の記憶の断片を視覚化するとともに、その時代に向き合った彼女自身の記憶が刻まれているように思われます。三島が作品に刻印した20世紀の記憶を、来るべき未来への記憶として改めて受け止める機会となれば幸いです。
三島作品は、国内外の多くの美術館に収蔵されていますが、特に2020年以降に受賞や展覧会が相次ぎ、国内はもとより海外からの評価も近年急上昇しています。
本展は、そうした流れのなかでの、東京の美術館における初の個展となります。展覧会を通して、三島が社会の現実を見つめながら、情報とゴミの問題をテーマに一貫して追い求めてきた作品世界の全貌を明らかにし、その魅力と実像に迫ります。

三島喜美代 《Work-64-I》 1964年 新聞、雑誌、油彩、板 京都国立近代美術館
三島喜美代 《Work-64-I》 1964年 新聞、雑誌、油彩、板 京都国立近代美術館
三島喜美代 《Work 17-C》 2017年 陶、転写 ポーラ美術館 写真撮影:中川忠明 写真提供:艸居
三島喜美代 《Work 17-C》 2017年 陶、転写 ポーラ美術館 写真撮影:中川忠明 写真提供:艸居
三島喜美代 《Package '78》(部分) 1978年 陶、転写、彩色 滋賀県立陶芸の森 陶芸館
三島喜美代 《Package ’78》(部分) 1978年 陶、転写、彩色 滋賀県立陶芸の森 陶芸館
三島喜美代 《20世紀の記憶》(部分) 1984-2013年 耐火レンガに印刷 個人蔵 写真撮影:小川重雄 写真提供:美術資料センター(株)
三島喜美代 《20世紀の記憶》(部分) 1984-2013年 耐火レンガに印刷 個人蔵 写真撮影:小川重雄 写真提供:美術資料センター(株)

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 「第十四回 I氏賞受賞作家展」岡山県立美術館
  2. 第3回『山形県埋蔵文化財センター設立30周年企画展』山形県埋蔵文化財センター
  3. 2024伊丹国際クラフト展「酒器・酒盃台」市立伊丹ミュージアム
ページ上部へ戻る