「長谷川喜久 日本画展 ー色・彩ー」日本橋三越本店

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名称:「長谷川喜久 日本画展 ー色・彩ー」日本橋三越本店
会期:2024年7月24日(水) ~ 2024年7月29日(月)
会場:本館6階美術特選画廊 最終日午後5時終了
住所:〒103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1
TEL: 03-3241-3311
URL: 日本橋三越本店

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6号
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長谷川喜久さんの個展の寄せて・美には心に響く真実がある
⽇本画家⻑⾕川喜久さんの今回日本橋三越本店で開催される個展の作品は、光を感じ多様性に満ちていると思った。差し込む陽光で樹々は個性豊かな⽣の輝きを鮮やかに⽰し、世界は燦々と輝き、⽇陰のひんやりとした涼しさも、なんと爽やかなことだろう。葉は⾵になびいてサワサワと⾳をたて、草の匂いは遥か昔の幼い⽇々の記憶を呼び覚ます。五感に訴えかける、⽣きている喜びがここにはあると思った。⽇本画の技法を熟知している⻑⾕川さん ならではのすばらしい世界表現がここにあると感じた。
 しかし私たちの⽣きる現実の社会は果たしてどうだろう。⻑引くコロナ禍の影響と社会の不安、世界各地で⾏われている凄惨な戦争や紛争による閉塞感の中、世界は光や多様性に満ちているなど感じる⼈はどれだけいるだろ うか。
 そのようなことを考えていて、私は印象派の画家達のことに思いが及んだ。かつて印象派は、光と暖かさに満ちた世界を描いた。モネやルノワールの作品は⾄福感に満ちている。しかし時代は、普仏戦争が終わり、パリコミューンが 崩壊した暗い緊迫の⽇々だった。遠くには第⼀次⼤戦の⾜⾳も聞こえただろう。画家たちも家族を戦渦で失っていた。これはどういうことなのだろう。描かれた世界は⽣きている世界とは違うではないか。芸術は世界表現なのだから、 画家たちはその空気感の中で憂鬱で暗く、⾎⽣臭く、悲観に暮れている⼈たちを描けば良いではなかったか。
 しかしここにこそ彼らの芸術の真価があった。そして印象派の⾯⽬躍如たる活躍があったのだ。
 彼らは、この光がまだちゃんと⾒えてますか、様々な美しい調和の中に⽣きていることを忘れてはいませんか、と問いかけていたのではないか。それは失われてはいない。だから⼼を澄まして周りをよく⾒たらいい。そこに変わらない四季の織りなす世界が広がっていることに気がつくに違いない、そう⾔って⽣きる希望を描いてきたのが、印象派で はないか。
 美には⼼に響く真実がある。それは⽣きてゆく勇気を牽引する。⻑⾕川さんの今回の作品の数々を拝⾒して、このような光が、多様性が⾒えてますか、と問いかけ、この美を⼼に留め、時代を颯爽と⽣きて欲しいと語りかけているのではないかと思った。⻑⾕川さんは⽇本美術の可能性を⽰す才能豊かな逸材だ。この個展は⻑⾕川さんが世界 につながる⾶躍の突破⼝になるかもしれない。そう思って、私は⻑⾕川さんに期待している。
千住博(⽇本画家・⽇本芸術院会員)

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50号
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50号

春夏秋冬 あらゆる季節の朝から夕に
縁あって会う風景を探す為出かけています
春芽吹の柔らかさ 秋紅葉の艶やかさ
朝の澄んだ空気は一面を青く見せてしまうように清々しく
また昼の日差しは緑の影の中に紫の妙味まで感じさせます
今ここに立っている偶然に感謝し
あらゆる画材でその場全てを描く様な気持ちで
そのひと時にしか感じられない多くの色彩を
印象という記憶に留め作品として再構築しています
その様な心持ちで創り上げた作品の並ぶ今展
何卒ご高覧賜りますようよろしくお願い申しあげます
長谷川喜久

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