名称:「Competitive Meditation」parcel
会期:2024年11月23日(土)〜2025年1月12日(日)
会場:PARCEL
開館時間:14:00 〜 19:00
休館日:月曜日、火曜日、祝日
オープニングパーティー:2024年11月22日(金) 18:00 から 21:00 まで
入場料:無料
住所:〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1 DDD hotel 1F
URL:PARCEL
この度、PARCELでは中国を代表するアーティストの徐震(シュー・ジェン)と、彼が主宰するMadeIn Gallery(メイドイン・ギャラリー)に所属する陸平原(ルー・ピンユアン)、李漢威(リー・ハンウェイ)を迎えたグループ展を開催いたします。
MadeIn Galleryは2014年に設立され、「芸術や文化における無限の可能性を追求する」という強い理念のもと、アート・バーゼルやフリーズ・ロサンゼルスなど国際的な舞台で活躍を続けています。
「Competitive Meditation」、すなわち「競争的な瞑想」は徐震の最新作の禅画で使われた言葉です。先月開幕したチベット初の現代アートセンター「Jebum-gang Art Center」で開催された彼の個展の終章では、政治風刺漫画をもとに日本の禅画を意識したシリーズが展示されました。禅画は宋元時代末期に始まった絵画形式であり、日本文化の中で変化し続け、やがて漫画やアニメーションといったダイナミックな形式に発展してきました。異なる時代や国の複雑な文化変遷が、アーティストによって単純な「啓示」の中に秘められています。作家は、このコンセプトを通じて芸術を超えた大きな嘆きを喚起するつもりはなく、むしろ我々の生活の中で常に存在している本末転倒な存在を意識させたいといいます。作品から過剰な神話性を排除し、常に中動的な姿勢を保ちながら、何かを批判するのではなく、時には自らが批判の対象となることも厭わないように見えます。
現在(2024年11月時点)、ポンピドゥー・センターでのグループ展にも参加している陸平原は、2012年からフィクションを軸に創作活動を続けています。「Best of the Best Draw」シリーズでは、人工知能を新たなイデオロギーとして捉え、「神」として、AIに自らが書いた物語や伝統的な神話を投げかけ、新たな神話の登場人物を生成させます。また、神々を召喚するための中国伝統の切り絵技法を駆使し、紙から「神」を生み出しています。人々はいつの時代も神々の姿を描き、その物語を紡いできましたが、陸はその「無駄だが不可欠な」行為に自身の方法で再び向き合います。「Lingua Playful(言葉遊び)」シリーズでは、人間の言語を視覚化し、言語を生命体のように表現しています。「余白を残す」という中国の伝統的な水墨画の技法を用い、会話の内容を表現すると同時に、言葉の届かない未知の領域も象徴しています。
李漢威は、テクノロジーを新たなメディアと捉え、それがどのように私たちの知覚、コミュニケーション、アイデンティティの構築に介入し、さらに支配するかを作品を通じて表現します。今回PARCELで展示する「Witness(目撃者)」シリーズの新作において、李はAIマッピング、指紋認証、CGレンダリング、3Dプリントなど、高度なアルゴリズムに依存する情報処理技術を駆使し、人間と機械の境界線がますます曖昧になる現象を探求します。一見自由に見えるこれらの技術にも、実際には多くの「避けられない制約」が存在しており、それが私たちが日々直面しているメディア環境の状況と非常に似ていることを鑑賞者にもイメージさせたいです。
また、本グループ展では、徐の最新作を含むすべての作品が、日本での初公開となります。絵画そのものの本質的な価値が、進化し続けるメディアによって揺さぶられる現代において、水墨画、切り絵、禅画、2Dと3Dのデジタルプリントなどの形式を通して、絵画がもつ「不確かさ」をテーマと照応させています。
鈴木大拙は約60年前にこう書いていました、「機械主義の世界、工業化の社会、概念主義で押し通す思想界では、人間の創造的本能はどうしても伸びてゆくことができぬ。現代をこのままで押し通すとすると、お互いに人間全滅の悲運に追いこまれてゆくよりほかないと、自分は信ずる。」
現代は、ひとつの大きな問題ではなく、個々に分散された様々な問題に直面しています。作品も作家も、流の中で答えを求められ続けており、私たちはいつしか芸術がまず自己認識や独立性を保つべきものであることを忘れつつあります。「Competitive Meditation」の意義を今回の作品を通して問い直し、自分自身を見つめ直すきっかけになることを期待しています。
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。