名称:「うつくしきかな―平安の美と王朝文化へのあこがれ―」MIHO MUSEUM
会期:2025年3月15日 – 2025年6月8日
会場:MIHO MUSEUM 北館
開館時間:午前10時~午後5時 (入館は午後4時まで)
休館日:月曜日 5月7日 ※5月5日、5月6日は開館
入館料:大人 1,300円 大・高生 1,000円 中学生以下無料 団体料金(20名以上)各200円割引 ※障害者手帳を お持ちの方は無料(介添1名は200円割引)
住所:〒529-1814滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
TEL:0748-82-3411
URL:MIHO MUSEUM
古筆の名帖 ひぐらし帖公開。
来春、「いのち輝く未来社会のデザイン」と題して大阪・夢洲を舞台に2025年日本国際博覧会が開催されます。これは世界に向けて「クールジャパン」と呼ばれる日本の魅力を発信するとともに、私たちにとって改めて日本の文化を見つめ直す機会にもなるでしょう。この“魅力”が生まれた背景を考えるとき、そこには先例を知り未来へ受け継がれてきた日本人の美意識があったことに気づかされます。
平安の昔、大陸文化に倣い仏教や律令を取り入れて発展してきたわが国は遣唐使を廃止し、自らの足で歩みはじめました。衣食住すべてにわたって和様化の道を進み、日本独特の情緒を表す和歌やひらがなが誕生して、日本の美意識の代名詞もといえる王朝文化が花ひらきました。この文化は武家が台頭する世を迎えて影を落としますが、絶えることなく受け継がれて再び太平の世の到来によって憧れへと変容しました。
本展では、MIHO MUSEUM所蔵の『ひぐらし帖』を当館で初めて公開します。『ひぐらし帖』はすぐれた鑑賞家であった吉田丹左衛門によって、元は手鑑としてつくられたものでした。手鑑とは主に名筆の断簡を集めて冊子様に仕立てたもので、書の道を志す人が模範とします。その後安田善次郎に愛蔵された同帖は、株式会社鉄道工業の社長を務めた菅原通済(1894-1981)の手に渡り、氏の所蔵する歌切の中から亡妻の十三回忌に合わせて精選して軸装し、三十一葉の『ひぐらし帖』となしたのでした。古筆切の最高峰とも謳われる「高野切」や、料紙に金銀泥で花鳥文や草花文を描いた「栂尾切」、平安の雅を体現したかのような「石山切」など、名だたる能筆が五・七・五・七・七のみそひともじに因んで三十一幅が収載されています。この『ひぐらし帖』に、MIHO MUSEUM所蔵の工芸品や仏教美術、琳派の源氏物語図屏風、歌仙絵など、平安の貴族文化の誕生から桃山初期に興る王朝文化への憧れがこめられた作品を織り交ぜて展観いたします。
今なお現代に残る都人の洗練された美の息吹、“風流(みやび)”に思いを馳せていただければ幸いです。
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