後藤靖香 「壽三郎ノ罷リ路」TEZUKAYAMA GALLERY
- 2025/9/12
- 大阪府
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名称:後藤靖香 「壽三郎ノ罷リ路」TEZUKAYAMA GALLERY
会期:2025年9月20日(土)〜2025年10月18日(土)
会場:TEZUKAYAMA GALLERY
開館時間:12:00 〜 19:00
休館日:月曜日、日曜日、祝日
入場料:無料
住所:〒550-0015 大阪府大阪市西区南堀江1-19-27 山崎ビル2F
電話:06-6534-3993
URL:TEZUKAYAMA GALLERY
このたび、TEZUKAYAMA GALLERY-VIEWING ROOMでは9月20日より後藤靖香の個展「壽三郎ノ罷リ路(じゅさぶろうのまかりぢ)」を開催いたします。
後藤靖香は、自身の祖父や大叔父の戦争体験をはじめ、歴史の中に埋没した個人史や土地に刻まれた記憶を丹念に掘り起こし、大画面に劇画調の筆致で描き出す表現で知られています。壁を覆うほどのスケールに大胆な構図で展開されるその作品は、迫力ある筆跡と圧倒的な存在感によって、鑑賞者の記憶に深く刻まれます。
近年は日本の伝統芸能である人形浄瑠璃・文楽を題材に取り組み、表現の幅をさらに広げています。2023年の「中之島文楽2023-人形浄瑠璃 文楽×講談×現代美術プロジェクションマッピング」では、青を基調とした舞台美術の原画を手掛け、プロジェクション・マッピングの素材として作品提供したほか、緞帳を飾る巨大なドローイングを発表しました。その調査の過程で後藤は、戦時下の文楽公演において「肉弾三勇士」や「九軍神」といった題材が上演され、戦意高揚や戦争美談というプロパガンダというかたちで国策に協力していたという歴史的事実に行き当たります。かねてより戦争の記憶を取材し作品化してきた後藤にとって、この発見は思いがけない接点となり、その後に制作された作品《堂々巡り》として結実しました。同作品では、真珠湾攻撃で戦死した九軍神の一人である上田定が象徴的に描かれ、2024年のART OSAKA Expanded Sectionにて発表されました。
約5年ぶりとなるTEZUKAYAMA GALLERYでの個展では、原爆投下時に爆心地で命を落とした作家の親族である後藤壽三郎を起点に作品が展開されます。これまで自身の祖父や大叔父の戦争体験や当時を生き抜いた人々の記憶を描いてきた後藤ですが、初めて「原爆・ヒロシマ」という題材に個人的な繋がりを通じて対峙します。奇しくも、本展が開催される今年は終戦から80年の節目を迎えました。直接の戦争体験者が少なくりつつある今、消えゆく声や記憶を想像しながら、〈語り得ぬもの〉をどのようにかたちで残し、未来へと引き継ぐことができるのか__壽三郎の生をめぐる物語を通じて、その静かな問いかけに向き合う時間となれば幸いです。








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