「いち盌のサレンダ 加藤高宏展」名古屋栄三越
- 2025/9/21
- 愛知県
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名称:「いち盌のサレンダ 加藤高宏展」名古屋栄三越
会期:2025年10月15日(水) ~ 2025年10月21日(火)
場所:名古屋栄三越 7階 特選画廊 [最終日午後4時終了]
住所:〒460-8669 名古屋市中区栄3-5-1
TEL: 052-252-1111
URL: 名古屋栄三越

銘 蒼虎(あおとら)
径14.1×高9.0
いち盌のサレンダ
明日の戦いを前に、
今生最後の一服となるかもしれない、
いち盌をたなごころに包み、
戦士は人生に思いを馳せる。
彼は、
茶盌の歪みに若き日の己を重ねたかも知れない。
或いはその窯きずに在りし日の戦いを思い出したかも知れない。
茶盌の景色は、
彼の人生の記憶の景色と、
重なっては離れる。
彼は運命を受け入れ、
自信を明け渡し、
点てられた一服とともに、
人生を呑み干す。
サレンダ。
わたしが青年期を過ごしたスペインのグラナダというところは、
数百年の十字軍らの戦いの末に、
イスラム教徒からキリスト教徒が
イベリア半島の地を奪還したという、
いわゆるレコンキスタの完了地である。
それを完成した、
フェルナンド5世とイザベル1世という、
カトリック両王が眠るグラナダ大聖堂の広場は、
そんなことに気も止めない私たち若者にとっては、
便利な待ち合わせ場所だった。
今朝、
轆轤場に入る前の一服のとき、
茶盌の釉のちぢれに、
そのグラナダ大聖堂の広場の敷石を思った。
そしてやはりグラナダの日々に知った、
イタリアの現代詩人ウンベルト・サバの詩を思い出した。
ミラノ
石と霧のあいだで、
ほくは
休日を愉しむ。
大聖堂の
広場に憩う。
星のかわりに
夜ごと、
ことばに灯がともる
人生ほど、
生きる疲れを癒してくれるものは、
ない。
ウンベルト・サバ
須賀敦子訳
今日も、
人生という一服を点てて、
生きよう。
加藤高宏

銘 眞名井(まなゐ)
径12.9×高12.3

銘 月遥(つきはるか)
径14.1×高9.6

銘 仁淀(によど)
径13.5×高11.1

銘 白亜(はくあ)
径13.5×高9.9

銘 天紫(あめむらさき)
径14.1×高10.2








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