「湖東焼・湖南焼-華麗な赤絵の世界」甲賀市土山歴史民俗資料

「湖東焼・湖南焼-華麗な赤絵の世界」甲賀市土山歴史民俗資料

名称:「湖東焼・湖南焼-華麗な赤絵の世界」甲賀市土山歴史民俗資料館
会期:2025年10月25日(土)~2026年1月11日(日)
会場:甲賀市土山歴史民俗資料館 第2展示室
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜日・火曜日・11月2日(日)・年末年始
入場料:無料
住所:〒528-0211 滋賀県甲賀市土山町北土山2230
TEL:0748-66-1056(問合せ:歴史文化財課 0748-69-2252)
URL:土山歴史民俗資料館/甲賀市

概要:
「湖東焼・湖南焼-華麗な赤絵の世界」展は、滋賀県立陶芸の森の特別展「九谷赤絵の極致」と連携して開催される企画展であり、近江地方における赤絵陶器の多様な展開を紹介するものである。赤絵とは、釉薬を施して焼成した後に文様を描き再度焼き付ける「釉上彩(上絵付)」技法の一種であり、特に赤色を主体とした華やかな彩色表現が特徴である。釉下彩(下絵付)では発色が難しい赤を明確に描くことができるため、赤絵はその鮮やかさと意匠の美しさによって広く愛好されてきた。

赤絵の起源は12世紀末、中国・宋時代の「宋赤絵」にさかのぼる。その技法は江戸時代中期の17世紀、有田焼を通じて日本に伝来し、やがて九谷焼・京焼などへと発展した。これらの赤絵様式は各地で独自の装飾美を形成し、近江地方でも湖東焼・湖南焼として特色ある陶芸文化を生み出した。湖東焼は湖北から東近江地域にかけて発展し、瀟洒な筆致と洗練された赤絵文様で知られる。一方の湖南焼は甲賀・信楽地域を中心に展開し、九谷焼や京焼の影響を受けながらも、淡雅な土味と柔らかな色調が融合した独自の風格をもっている。

本展では、当館所蔵の湖東焼および湖南焼の代表的作品を中心に、江戸後期から明治期にかけて制作された赤絵陶器の数々を展示。九谷赤絵との比較を通じて、地域ごとの造形意識と絵付け技法の違いを浮かび上がらせる。展示作品には、花鳥や吉祥文様、風景画などの絵付けが施された器物が並び、釉上彩ならではの艶やかな発色と構図の妙を鑑賞できる。

さらに、赤絵が果たした文化的役割にも注目する。江戸期の茶人や文化人の間で好まれた赤絵は、日常器から贈答品、さらには祭礼・儀礼用の装飾陶器として多様な場面で用いられた。湖東・湖南の赤絵も、地域社会の生活文化や美意識を反映する重要な資料である。これらの作品を通して、江戸から近代へと続く近江の陶芸文化の系譜と、華やかな装飾技法の深化をたどることができる。

作家略歴:
本展は特定の作家個人による展示ではなく、湖東焼・湖南焼をはじめとする地域陶工たちの技と美意識を紹介するものである。これらの焼物は、江戸時代中期以降、地元の職人や京都・九谷系の陶工が技術交流を通じて発展させたものであり、特定の工房や名工のみならず、地域の陶芸文化全体を象徴する遺産として位置づけられる。

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