名称:「生誕110年 木版画家 星襄一 展Ⅰ―― 光を求めて ―」星と森の詩美術館
会期:2023年4月1日(土)〜6月4日(日)
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
料金:一般500円、小中学生200円
※団体(20名以上)各50円引き
※障がい者手帳(ミライロID含む)提示で各100円引き【割引併用は不可】
休館日:火曜日
会場:星と森の詩美術館
住所:〒948-0101 新潟県十日町市稲葉1099-1
TEL:025-752-7202
URL:星と森の詩美術館
1957(昭和32)年、星襄一(1913-79)は東京で木版画家として歩み始めました。前年に武蔵野美術学校(現 武蔵野美術大学)を42歳で卒業、その後独習した木版画。稼業を捨てた星には、もはやその道しかありませんでした。
先の見えない闇の中、悲壮な覚悟を持った門出に支援の手を差し伸べたのが、同年8月に十日町市の有志が立ち上げた「星襄一後援会」です。この会で頒布したとみられる作品に同年の《森に棲む月》があります。シンプルな刀の彫りで表された森の中を彷徨うような月の姿が、迷いを抱える当時の星自身の姿に重なり、森の木々は月を閉じ込める檻のようにも見えます。
星は、その後しばらく時流に乗った抽象作品も手掛けましたが、「絵は誰にもまずわかって頂かねばならないという反省から、徐々に抽象表現から離れつつ自分の道を模索してきました」と述懐しています。1965(昭和40)年、迷いの雲間から現れたのは自身の姓の「星」、幼い頃に故郷で見た「こわいような満天の星空」への憧憬という原点回帰でした。星をテーマとすることで、光の表現が始まります。星の遊び心が星々の輝きを生み出し、星々は光を放ちながら連なり、星座を形作り、やがて銀河となって地上へ降りていきます。
1970(昭和45)年には、1957年の《森に棲む月》の版をバーナーで焼き、さらに版を加えるなどして新作として発表しています。ここにおいて、月はもはや森に潜んではいられない程皓々と光を放ち、縛られるものなど一切ありません。
銀河とともに地上へ降りて来た星の視線。地上に光をもたらすのは星だけではなく、太陽の光がありました。茜色の雲がたなびく金色の空を背景に赤く染まる木々、1971(昭和46)年に発表されたこの鮮烈な《赤い木》から樹のシリーズは始まります。地上で「星」と同じ思いを託せるモチーフとして登場した「樹」。地上に降り来ることで太陽の光を手に入れ、さらに金銀箔を効果的に用いることで星襄一の「樹」は唯一無二の表現を手に入れたのです。
遅い出発から20年余、一気に駆け抜け約400点もの作品を残した星襄一。今展では、自身を信じ、光を求めて道を探り続けた星の姿を、約50点の作品を通して追っていきます。
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