名称:「石ノウエ二描ク 石版画と作り手たちの物語」和歌山県立近代美術館
会期:2023年4月22日(土)〜2023年7月2日(日)
会場:和歌山県立近代美術館
展示室:2階展示室
時間:9:30〜17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日:月曜日
観覧料;一般 520円(410円)
大学生 300円(260円)
※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下、65歳以上、障害者、県内に在学中の外国人留学生は無料
※第1日曜日(5月7日、6月4日、7月2日)は無料
※第4土曜日(4月22日、5月27日、6月24日)は「紀陽文化財団の日」として大学生無料
住所:〒640-8137 和歌山県和歌山市吹上1-4-14
TEL. 073-436-8690
URL:和歌山県立近代美術館
版画は凸版、凹版、孔版、平版に大きく分けられ、リトグラフは平版の一種です。ほかの版式では、彫るなどして版に凹凸を作り、あるいは版に孔をあけて原版としますが、リトグラフは版面が平らなままで水と油がはじきあう性質を利用して版を作ります。ほかの版式に比べて不思議にも感じられるかもしれませんが、意外とわたしたちの身近なところにあって、一般的な印刷に使われているオフセットもリトグラフから発展した技法です。
リトグラフは、18世紀終わりにミュンヘンでアロイス・ゼネフェルダーが発明し、1798年頃に「化学的印刷術」として完成されてヨーロッパに普及しました。版の材料として天然の石灰石を使ったため、ギリシア語で石を指す「リトスlithos」による版画、リトグラフと呼ばれました。
はじめは楽譜や地図の実用的な印刷に使われましたが、19世紀には画家たちがこの技術によって版画作品を制作するようになりました。版画の技法のなかでもリトグラフの画期的なところは、版に描かれた痕跡を、彫師の手を経ないで残らず製版し、印刷できることでした。彼らは製版に使うリトクレヨンや、ペンや筆につけた解き墨を使い、手描きの繊細で自由なタッチや、水彩画のようにやわらかなにじみなどによる豊かな表現を追求しています。また、優れた製版、印刷の技術を持つ版画工房との共同作業も大きな実りをもたらしました。
日本にリトグラフ印刷機がもたらされたのは、1860年のことでした。プロイセンの使節が印刷機一式を幕府に贈ったのです。そして、明治時代には欧米から指導者が迎えられてリトグラフによる様々な実用印刷物が制作されて普及し、そのなかから版画も生まれました。その後、美術学校などでも教えられるようになると、国内あるいは国際的な展覧会でも活躍する石版画家たちが現れました。本展では、ムンクやルドンの名品や、織田一磨の『東京風景』『大阪風景』から現代の作品まで、当館の東西の版画コレクションを中心に、石版画の歴史とともにその魅力をお伝えします。
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