「襲名十周年記念 十五代 酒井田 柿右衛門 展」札幌三越

【濁手 葡萄文 瓶】(径26.5×高27.5cm)

名称:「襲名十周年記念 十五代 酒井田 柿右衛門 展」札幌三越
会期:2024年5月21日(火) ~ 2024年5月27日(月)
場所:本館9階 三越ギャラリー(A・Bギャラリー)※最終日は午後4時終了
住所:〒060-0061 札幌市中央区南1条西3丁目-8
TEL: 011-271-3311(代表)
URL: 札幌三越

柿右衛門は「濁手(にごしで)」と呼ばれる乳白色の素地に、余白を生かし華やかな色絵を施した美しさが特徴です。「柿右衛門様式」と呼ばれるその作品はおよそ380年の伝統を誇り、時代を彩る様々な意匠を生み出しながら、今日まで脈々とその美意識と匠の技を継承し、日本国内はもとよりヨーロッパ各地など海外でも愛され続けています。10年前に十五代を襲名した当代の酒井田柿右衛門先生は、新しいモチーフを積極的に取り入れながら「いかに今の時代に調和させるか」をテーマに、大胆な作陶に取り組まれておられます。襲名十周年を記念した本展は、十五代となる酒井田柿右衛門先生の先師先達の教えを守りながら新しい息吹を吹き込んだ壺や花瓶など、清々しい彩りの新作の数々を一堂に展観いたします。ぜひ、この機会にご高覧いただきますようご案内申しあげます。
◆濁手
佐賀地方の方言で米の研ぎ汁のことを「にごし」と言います。「濁手(にごしで)」は米の研ぎ汁のように温かみのある白色の地肌を持つ色絵磁器で柿右衛門窯独特のものであり、泉山陶石等を使用した特別な原料とその配合、及び独自の製法により作られております。一般的な白磁がやや青味を帯びているのに対し、濁手素地は柔らかい乳白色を呈しており、1650年代に、柿右衛門の色絵が一番映える地肌を持つ素地として創り出されました。その後、この素地は改良を加えられ、いわゆる「柿右衛門様式」が確立される頃には、傷や歪みなどの少ない上質なものが作られるようになります。この濁手作品のしっとりとした素地と余白を十分に生かした繊細で華やかな色絵との調和のとれた美しさは、その当時国内はもとより国外においても高く評価され、その作品は1659年に本格化するオランダ東インド会社(VOC)の輸出により広く東アジアやヨーロッパ等に紹介されていきます。しかしこの濁手も貿易の終了と共に江戸中期頃一度途絶えてしまいました。それから長い間、濁手は作られておりませんでしたが、酒井田家に伝わる江戸時代の古文書を基に、苦労の末、十二代、十三代柿右衛門親子により復元されました。1971年にはその製陶技術が認められ国の重要無形文化財の総合指定を受けております。
十五代 酒井田柿右衛門 ご挨拶~『柿右衛門の名を受け継ぎ、今年で10年の節目を迎えることができました。これもひとえに皆様の温かなご指導あってのことと、深く御礼申し上げます。襲名当初は自分の作品制作に無我夢中で臨んでいくばかりでしたが、昨今は、次の世代にこの工房を引き継ぐためにはどうすべきか、窯の未来を考えながら作品づくりをすることが増えて参りました。自分の任された時代の答えを模索し身の引き締まる思いを強く抱きつつも、私自身のマイペースな性格のお陰もあり、気負い過ぎず、時には広く緩やかな目で仕事を見つめることが出来つつあるように感じております。まだまだ理想には届かない部分が多くありますが、次の節目に向け研鑽を積み、日々の作品づくりに励んで参る所存です。ご清鑑いただければ幸いに存じます。』~令和6年 春 十五代 酒井田柿右衛門
◆ギャラリートーク:5月25日(土)午後2時から
十五代 酒井田柿右衛門
1968年 佐賀県有田町に生まれる。
1991年 多摩美術大学絵画学科中退。
1994年 十四代酒井田柿右衛門に師事。
2010年 第四十五回西部伝統工芸展にて初入選、第五十七回日本伝統工芸展にて初入選。
2012年 有田陶芸協会会員となる。
2013年 国・重要無形文化財保持団体「柿右衛門製陶技術保存会」会長に就任。日本工芸会正会員となる。
2014年 2月4日、十五代酒井田柿右衛門襲名。佐賀県陶芸協会会員となる。
2019年 日本陶芸美術協会会員となる。
現 在 日本工芸会西部支部常任幹事、佐賀県陶芸協会副会長、有田陶芸協会副会長、日本陶芸美術協会幹事。

【濁手 葡萄文 瓶】(径26.5×高27.5cm)
【濁手 葡萄文 瓶】(径26.5×高27.5cm)

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