名称:岡田舜 + 安部悠介 「Echo from Nowhere」parcel
会期:2024年9月21日(土)〜2024年10月13日(日)
会場:parcel
開館時間:14:00 〜 19:00
休館日:月曜日、火曜日、祝日
オープニングパーティー:2024年9月20日(金) 18:00 から 21:00 まで
入場料:無料
住所:〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1 DDD hotel 1F
URL:PARCEL
この度、parcelでは岡田 舜、安部 悠介による二人展「Echo from Nowhere」を開催いたします。
岡田の発案で安部との二人展へと発展しました。旧知の仲であり、お互いの作品とパーソナリティを誰よりも熟知している二人による新展開をparcelにて発表いたします。
岡田 舜は、1980年代のファミコン画面をモチーフにしつつ、それを単なるノスタルジーにとどめず、バグ(プログラムのエラー)によるデフォルメを取り入れた独自の表現を追求しています。岡田にとってのゲームは日常でもあり、ある種の救いでもありました。本人とファミコンとの出会いは至ってシンプルであり、ソフトが他よりも安価で岡田でも購入できたこと、その中でも特にRPGは時間が潰せるから都合がよいという理由からでした。大事なのはレベル上げ等の反復作業であり、ストーリーそのものはあまり重要ではなかった、と彼は振り返ります。当時のバグは筐体にセットされたカセットを通してスクリーンに映し出された画面が何かしらのフィジカルな外的要因(誤って蹴るなど)によって衝撃が加えられ、引き起こされます。淡々とRPGをこなしているような日常の中でそれはイレギュラーなことです。データが消えてしまうなど、時には忘れられない出来事を暗示するものだったりはしますが、学校の授業で描いた細密画に一定の手応えを感じながら制作中に思考から解放され反復で没頭できることが心地よかったと作家は語ります。現在岡田はバグ画面を生成するプログラムによって参照画像を作っているが、フィジカルな制作おいては過程で起きる筆のズレやミス、色の塗り間違えのような自身の身体から繰り出される些細な「バグ」を期待しており、またそれを享受しつつ、必要な変更を加えながら最終的な作品に活かしています。
安部の絵画には繰り返し、昆虫、魚(もしくは釣り)、ゲーム、モンスターのようなキャラクターが現れます。これも彼自身の経験や身の回りにあったものや、サブカルチャー、絵画史への興味からくるモチーフです。近年ではその表現の抽象化が進み、これらの要素がデフォルメされた状態で画面を埋め尽くします。さらには木片、プラスチック板など多数の支持体が複雑に絡み合い、半立体ともとれる作品を作り上げています。絵画表現や美術史への批評的なスタンスも読み取れる安部の作品は絵画コンテクストへの挑戦と脱却 / 接続の反復のように感じられる。今回出展される新作の中心は大型キャンバスが数点あり、そこには安部がこれまで描いてきた要素が平面上で再構成されています。具象的なモチーフから出発し、纏っていたコンテクストを脱ぎ去りながらそれを抽象的にデフォルメしつつ平面上に配置され、具象と抽象の境界線で時間を止められた「風景」が眼前に広がります。
岡田と安部の作品は、ノスタルジックなサブカルチャーや現代社会の諸問題が見え隠れするが、彼らの制作の核心には、再構築と反復があります。岡田は筆致の、安部はメディウムの往復と反復、再構築が見られますが、そのアウトプットは大きく違います。その中でも共通するのは彼らが過ごしてきた景色を描いていること、思考や不必要なコンテクストからの解放が重要な要素の一つであることになります。
今回を含めて2回目の岡田 / 安部の二人展になりますが、それぞれが切り開く新境地をぜひご高覧くださいませ。
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