「伊能図でみる江戸後期の日本の景観2024」日本大学文理学部資料館

「伊能図でみる江戸後期の日本の景観2024」日本大学文理学部資料館

名称:「伊能図でみる江戸後期の日本の景観2024」日本大学文理学部資料館
会期:2024年9月22日(日)〜10月15日(火)
会場:日本大学文理学部資料館
開館時間:平日:10時から17時まで
   土曜日:10時から13時まで
料金:無料
休館日:日曜日
住所:〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40
TEL:03-5317-8590
URL:日本大学文理学部資料館

伊能図とは,伊能忠敬の測量隊が1800(寛政12)年~1816(文化13)年にかけて全国を測量し,作製した日本地図の総称であり,一般的には,縮尺の違いによって大図(1/36,000)214枚・中図(1/216,000)8枚・小図(1/432,000)3枚に分類されています。その精度の高さは,幕府から伊能小図を提供された英国測量艦隊司令のワード中佐が認め,測量を中止し,同図に基づき英国の『日本及び朝鮮近傍の沿海図』を作製したほどです。英国測量艦隊は,当時の最新技術を有しており,かたや伊能図はありふれた導線法(p4参照)にて約半世紀前に作製されたものです。その誤差は経度1度の長さにして0.2%ほどに過ぎず,これは交会法や天測(天体観測)を導入するなど,誤差の最小化に努めた結果として得られたものです。また伊能忠敬の測量隊には,画才のある青木勝次郎なども加わっており,測量経路にみられる山野,河川,湖沼や海岸線の地形のほか,大名の居城,城下や沿道集落の風景などが麁絵図(あらえず:下絵図)として描かれ,伊能図にも書き込まれています。なお,国,郡,町村の地名やそれらの境界なども記載されており,往時を把握する資料としても活用できます。
 本企画展は,昨(2023・令和5)年度にご好評を得ました「伊能図でみる江戸後期の日本の景観」展に,一部資料を加えて再展示したものです。展示の伊能大図は,2001(平成13)年に米国議会図書館で確認された同館所蔵の伊能大図(アメリカ伊能大図)を原本として,彩色復元された『伊能大図(米国)彩色図』です。復元作業は,伊能忠敬から7代目にあたる洋画家の伊能洋氏監修の下で,若手日本画家がアメリカ伊能大図のデジタル複写したフィルムの上に,現存する国内の伊能図を参考にして手彩色にて復元したもので,伊能図のもつ華麗で精細なイメージの再現が図られています。一方,展示の伊能中図は,1970(昭和45)年頃にフランスで発見されたイブ・ペイレ氏旧所蔵,NISSHA株式会社現所蔵の伊能中図(フランス伊能中図)を原本として,2004(平成16)年に日本大学文理学部大規模企画展(学部行事)「伊能図の世界 あるく はかる つくる―伊能忠敬の日本図展―」に際してデジタル複製されたものです。原本のフランス伊能中図は,針穴を空けて写す針突法により作製された完成度の高い副本(伊能記念館の伊能諸図と同等以上の完成度)であり,前述の交会法による方位線や天測した観測地などもよく記載されています。
伊能図の展示が,伊能忠敬や伊能図を再認識する機会,さらには江戸後期の日本の景観に思いを馳せる機会となれば幸いです。

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 「第十四回 I氏賞受賞作家展」岡山県立美術館
  2. わが街ながのゆかりの作家展 中村明個展「混ポジション」長野市芸術館
  3. 「東京造形大学 写真研究所 ―ミクロな視点とマクロな視点―」BankART KAIKO
ページ上部へ戻る