特別展「やきものの模様-動植物を中心に-」兵庫陶芸美術館

特別展「やきものの模様-動植物を中心に-」兵庫陶芸美術館

名称:特別展「やきものの模様-動植物を中心に-」兵庫陶芸美術館
会期:2021年12月11日(土)~2022年2月27日(日)
休館日:月曜日、12月31日(金)、1月1日(土・祝)
  ただし、1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館し、1月4日(火)、1月11日(火)は休館
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
出品点数:約100件
会場:兵庫陶芸美術館 展示棟 展示室2、4、5

住所:〒669-2135兵庫県篠山市今田町上立杭4
TEL:079-597-3961
URL:兵庫陶芸美術館

丹波 《色絵立鶴文徳利》(1対) 江戸時代後期 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財
丹波 《色絵立鶴文徳利》(1対) 江戸時代後期 兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション) 兵庫県指定重要有形文化財

やきものには、古くからさまざまな模様が描かれてきた。山野に自生する松や竹。森の中を駆け巡る兎や鹿。身近に咲きほこる梅や菊。そこに集う鶯や雀。大空をはばたく鶴や鷹。また、水辺に生える葦や蓮。そこに棲む鷺や鴨。水藻の間を泳ぐ魚や亀。海の中にいる海老や蛸、そしてサメやシャチ。さらには、当時、目にすることが珍しかった虎や象にいたるまで、数多くの動植物が生き生きと描かれ、見る者の目を楽しませてくれる。これらのモチーフとなった動植物の多くは、すでに描かれていた花鳥画をはじめとした絵画などから写し取られたものであった。それと同時に、それぞれの模様には、人々の思いや願いが込められていた。
一方、科学的な眼で動植物を観察し、そのエッセンスをもとに、デザインされた模様もある。陶芸家・富本憲吉(1886~1963)の羊歯模様が、その代表のひとつといえる。植物を実際に観察し、忠実に描いた素描から、個性あふれるオリジナルの模様を生み出した。そして、やきものの模様に「模様より模様を造るべからず」という、新たな発想を持ち込んだ。
このように、やきものの模様には、絵画のような「アート」からアイディアを得た模様と、自然科学の「サイエンス」に着想を得た模様がある。本展では、江戸時代以降に作られた、やきものの模様に込められた願いや思い、また模様が生み出される過程を紹介。模様が持つ神秘的で奥深い世界を、「アート」と「サイエンス」の双方の眼で観察し、新たな一面を見出す機会とする。

展覧会の特徴
《1》やきものに描かれた多様な動植物
 野山の木々や四季の花々、里や水の中のいきもの。さらには珍獣や空想上の霊獣など。やきものの模様は、あたかも絵画の一場面を切り取ったような情景が器面いっぱいに展開されています。それもそのはず、これらの図様は、山水画や花鳥画などの中国からもたらされた、版本などが元になっています。そこから画題や構図を取り入れ、さらには吉祥の意味を込めて、やきものの器面をキャンバスに見立てて描かれたのです。しかしながら、見れば見るほど躍動感にあふれています。
《2》デザイン化された模様―富本憲吉の植物模様から―
 富本憲吉の羊歯(しだ)や四弁花(しべんか)などの模様は、デフォルメされ、一見デザイン化された文様のようにみえます。ところが、これらは自生する植物をデッサンし、生み出されたものです。そこに注目した兵庫県立人と自然の博物館のシダ植物の研究者が、今回、富本の羊歯模様をサイエンスの眼で見つめ、羊歯の標本からアートへの道のりを解き明かしました。本展は、アートをサイエンスから切り込んだ初めての展覧会です。
《3》アートをサイエンスの視点から読み解く
 やきものに描かれた、生き生きとした魅力あふれる模様の多くは、絵画などをもとに生み出されました。そのようなアートの要素を取り入れたやきものの模様を、植物の標本や動物の剥製と見比べると、自然の姿とは異なることに気がつきます。どこが違うのか、どこがそっくりなのか、サイエンスの眼でアートを探索すると、きっと新たな世界が開けます。

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