名称:「富野由悠季の世界」新潟市新津美術館
会期:令和3年9月4日(土曜)から11月7日(日曜)
※コロナウィルス感染拡大防止のため9月16日(木曜)まで臨時休館
休館日:月曜(ただし9月20日は開館し翌21日休館、9月27日、10月18日、11月1日は開館)
開館時間:午前10時から午後5時(観覧券販売は午後4時30分まで)
観覧料:当日券 一般1,200円 大学・高校生1,000円 中学生以下無料
※有料20名以上は団体料金で2割引
主催:富野由悠季の世界新潟展実行委員会、新潟市新津美術館、UX新潟テレビ21
共催:新潟日報社
特別協力:新潟市文化・スポーツコミッション
協力:サンライズ、東北新社、手塚プロダクション、日本アニメーション、オフィス アイ
企画:福岡市美術館、兵庫県立美術館、島根県立石見美術館、静岡県立美術館、富山県美術館、青森県立美術館
企画協力:神戸新聞社
住所:〒956-0846新潟県新潟市秋葉区蒲ケ沢109-1
TEL:0250-25-1300
URL:新潟市新津美術館
全国6美術館が共同企画し、巡回開催され好評を博した「富野由悠季の世界」を新潟市で開催します。虫プロダクション入社後『鉄腕アトム』に携わり、『海のトリトン』初監督などを経て、その後、社会現象にもなった『機動戦士ガンダム』(1979~80年)を発表した富野由悠季(本名:喜幸、1941~)は、最新作『Gのレコンギスタ』(2014年~)に至るまで、数々の話題作を世に生み出して来ました。
本展では、富野ワールドの原点ともなった、宇宙に憧れた幼少期から、映像作家を志した学生時代までの貴重な作品と資料の展示に始まり、富野と仕事を共にした多くのクリエーターたちのメカやキャラクターの設定画などとともに、富野直筆のアイディアスケッチや絵コンテなどを多数ご紹介します。また、自らの作品世界を掘り下げた小説、主題歌などの作詞、さまざまな分野の人々との対話など、富野のマルチな活動と才能にも焦点を当てながら、半世紀以上におよぶ富野の仕事をご紹介します。
展覧会のみどころ
本展覧会は、第1部「宇宙(そら)へあこがれて」から、第6部「大地への帰還」まで、全体を6つのテーマで構成。富野作品のドラマのストーリーになぞらえ、宇宙にあこがれた少年が、宇宙に旅立ち、異世界にも立ち寄り、様々な見識を得て、最後に大地に還ってくるという筋書きで展覧会を組み立てています。SFマインドにあふれたリアリティのある舞台設定、奥行きのある人物描写、巧みなメカ演出によって構築された物語。見るものを飽きさせない富野由悠季の作品世界を、映像や多彩な資料により紹介します。
第1部 宇宙へあこがれて
幼少期から大学時代の作品/初期の演出・監督作品
富野由悠季(本名、喜幸)は1941年、神奈川県小田原市に生まれました。
父親が戦時中に制作に関わった「与圧服」の写真は「宇宙服」をイメージさせ、富野少年の宇宙へのあこがれを刺激します。アメリカのSF映画にも影響を受け、「映画的なもの」に対しても強い関心を寄せていきました。
虫プロダクションに入社した富野は、当時制作中だった『鉄腕アトム』で、並み居る演出家の中で最も多くの各話演出を手掛けました。いったん退職するも再びアニメ制作の現場に戻り、様々な作品の演出や絵コンテを担当します。
1972年のTVアニメ『海のトリトン』は、富野にとって初の監督作品となりました。それまでの子供向けアニメの常道である勧善懲悪的ストーリーを覆し、善悪が相対化される展開は、TVアニメ『無敵超人ザンボット3』(1977-78)にも効果的に取り入れられていきます。
第2部 人は変わってゆくのか?
『機動戦士ガンダム』 『伝説巨神イデオン』
1979年、富野は『機動戦士ガンダム』の原作と総監督を務めます。モビルスーツによる人類同士の戦争の中で繰り広げられる人間ドラマを主体とした本作は、若者を中心に支持を集め、そのうねりが劇場版三部作とプラモデルのブームを生み出しました。
富野は続いて『伝説巨神イデオン』(1980-81)の原作・総監督を務めます。『ガンダム』で示唆された人間の相互理解という可能性とは正反対に、『イデオン』では異なる文化コードの相互理解に失敗し、破滅へと突き進んでいく人間の「未熟さ」を徹底的に描き出していきます。
第3部 空と大地の間で逞しく
冒険活劇/歴史もの、名作もの、時代もの
『ガンダム』や『イデオン』においてシリアスで重厚な人間ドラマを描き出した富野は、一方で魅力的なキャラクターが明るく元気に活躍する作品も数多く手掛けています。
『無敵鋼人ダイターン3』(1978-79)や『戦闘メカ ザブングル』(1982-83)、『OVERMAN キングゲイナー』(2002-03)などです。
また、ロボットは全く登場しませんが、歴史に取材した作品や、名作文学を取り上げた作品の監督や演出にも携わりました。意外と知られていない、幅広いジャンルにおける富野作品を紹介します。
第4部 魂の安息の地はどこに?
ファンタジー/スペース・オペラ
富野作品の大きな特徴の一つは「リアリティ」です。しかし、一見「リアリティ」とは対照的とも思える、「ファンタジー」の世界にも富野は挑戦します。中世風の騎士や女王などが登場する『聖戦士ダンバイン』(1983-84)や、そこから派生したいくつかのバイストン・ウェル・ストーリーです。
また、別の銀河系で起きる壮大な大河ドラマ、『重戦機エルガイム』(1984-85)も、異世界を舞台としたスペース・オペラです。富野はタイプが異なる二つの異世界を舞台に新たな物語を模索していきます。
第5部 刻の涙、流れゆくその先へ
『ガンダム』のシリーズ化/家族と戦争
1985年、周囲の要請に応えて『ガンダム』が復活。『機動戦士ガンダム』終了から7年後の世界を描いた『機動戦士Ζガンダム』において、富野は前作を踏まえつつも、まったくそれとは異なった新しい物語を提示しました。
それ以降『ガンダム』と名の付く作品が続きます。アムロとシャアの物語に区切りをつけた富野は、劇場アニメ『機動戦士ガンダムF91』(1991)において、それまでの自身のアニメ作品で重要な要素となっていた「家族」をメインテーマに据え、物語の原点回帰を図ろうとします。
第6部 大地への帰還
『∀ガンダム』 『Gのレコンギスタ』
『機動戦士ガンダム』放映20周年を記念して制作した新しいガンダムは、自ら制作したもののみならず、他の監督が制作した『ガンダム』を全否定すると同時に肯定する意味を込めた『∀ガンダム』(1999-2000)。過去と未来が交錯する独特の世界観で、新しいガンダム像を提示した意欲作です。
『∀ガンダム』終了から14年後に制作された『Gのレコンギスタ』(2014-15)は、現在、劇場版全5部作(2019-)として鋭意制作中で今後の最新作の上映も注目です。
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