マイケル・ホー 「HIDDEN IN PLAIN SIGHT AND NOT AFRAID TO DIE」TOKYO INTERNATIONAL GALLERY

マイケル・ホー 「HIDDEN IN PLAIN SIGHT AND NOT AFRAID TO DIE」TOKYO INTERNATIONAL GALLERY

名称:マイケル・ホー 「HIDDEN IN PLAIN SIGHT AND NOT AFRAID TO DIE」TOKYO INTERNATIONAL GALLERY
会期:2022年3月19日 – 4月23日
開館時間:12:00 〜 18:00
休館日:月曜、日曜、祝日
入場料:無料
会場:TOKYO INTERNATIONAL GALLERY
住所:〒140-0002 東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex Ⅱ 2F
TEL:03-6810-4997
URL:TOKYO INTERNATIONAL GALLERY 

TOKYO INTERNATIONAL GALLERYでは、2022年3月19日より、マイケル・リキオ・ミング・ヒー・ホーの個展「HIDDEN IN PLAIN SIGHT AND NOT AFRAID TO DIE」を開催いたします。
マイケル・リキオ・ミング・ヒー・ホー (1996年、ハワイ生まれ)は、東京を拠点とする広東系日系アメリカ人アーティストです。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)芸術学部で美術を学び、2018年に最優等賞を取得して卒業。ホーは、鑑賞者と作品の間に対話的な関係性をもたらす絵画・立体作品を制作します。バーバラ・クルーガーやアンドレア・フレイザーといったアーティストに師事したホーはしばしば、単体だと挑発的とも捉えることのできる象徴的な記号や大胆なテキストを、複雑に組み合わせることで不条理ともコミカルとも言える曖昧な鑑賞体験を作り出します。意図的にメッセージ性が不明瞭な作品は、見る者に解釈を強いる力を持つとも言えるでしょう。
本展「HIDDEN IN PLAIN SIGHT AND NOT AFRAID TO DIE」では、作品の意義の中核に鑑賞者の存在を置くという作品特徴をペインティングと立体作品で構成されたシリーズで新たに発表します。直方体型で壁や床から飛び出る7点の大作たちは、現代社会のモノリスとも言える重厚感を放ちながら観客の前に立ちはだかります。これら存在感をもつ作品群はホー自身の複雑だが確かな社会への姿勢を象徴するようで、また同時に鑑賞者自身と作品の間に生じる身体的・社会的位相を問う装置としても機能します。
ホーの作品群は、一見、攻撃的なようにも見えるかもしれません。たしかに、ニュース記事や美術批評文、SNS上のコメントなど、様々な媒体で見つけたテキストを参照しながら作り上げた印象的な文章を、記号的なイメージで彩られたキャンバスに手描きで描いた作品には、強い主張性が認められるでしょう。一方で、これら作品が鑑賞者にもたらす防衛本能のような反応は、あくまで作品と対面する鑑賞者の存在によってのみ成り立つということも留意しておきたい。作品を通して観客に考えさせたいが、一方で作品は他者に訓戒をするべきではないのだと彼は言います。ペインティングで施されたテキストや手作業による転写作業のシワやズレの跡は、複雑すぎる世の中で私たちと同様に、悩みながら生き抜こうとする一人の若い作家の存在を暗示するのです。
このように作品から見られる手法のリアリズムは、ファインアートの社会的意義に対してホーが謙虚に向き合う現れかもしれません。スプレー塗料、クリアジェッソ、インクジェットプリンターのインク、絵の具、樹脂といった複数のレイヤーによって構成される絵画のファサードの背後に隠されているのは、結局のところは一人の今を生きるアーティストであることを認識させてくれます。ホーの作品の本質は、挑発や攻撃ではなく、鑑賞者と共感的なつながりを導き出し、彼の眼差しから観測できる社会の制度的・構造的な多層性にともに向き合ってもらうことを求めることなのかもしれません。ホーの作品が扱う題材は彼の弱さや孤独の露見とは程遠いものと思うかもしれませんが、もし展覧会を訪れた際に彼と話をすることができたなら、彼の鑑賞者への献身(彼の言葉を借りれば博愛)の想いは、自らの悩みや弱さを露見する覚悟までを意味することがわかるでしょう。
HIDDEN IN PLAIN SIGHT AND NOT AFRAID TO DIE(直訳:明白な場所に身を潜め、死を恐れずに覚悟を決める)は紛れもなくホーによる等身大な鑑賞者への共感の呼び込みであります。もし本展が貴方になにか凝りのようなものを残したのであれば、それはホーにとっては本願であると思われます。

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