主催:出光美術館 |
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北京大学サックラー考古芸術博物館所蔵 |
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出光美術館はこのたび北京大学サックラー考古芸術博物館所蔵品による「中国の考古学」展を開催することになりました。当館はこれまで「近年発見の窯址出土中国陶磁展」(1982年)、「皇帝の磁器 新発見の景徳鎮官窯展」(1995年)など中国の陶磁考古学の最新の成果を紹介する学術展を行ってきました。今回の展覧会は中国の旧石器時代にはじまり、夏、商、周、漢、南北朝、隋、唐、宋、元時代にいたる中国悠久の文明の軌跡を北京大学考古学系の発掘成果によって学術的に辿ろうとする内容です。
北京大学考古学系は、1922年に設立された北京大学国学門にその創設の歴史をもつ中国で最も古い伝統を有する考古学科です。中国各地で遺跡の発掘調査を精力的に行い、1930年代には日本の東亜考古学会と共同で中国東北地方の発掘を行っています。東亜考古学会留学生として北京大学で学んだ江上波夫、三上次男、水野清―等の諸先生は、帰国後、日本における中国考古学研究の基盤をつくり、その発展に尽力され、熱心に日本と中国の学術交流の橋渡しを行ってこられたことはよく知られているところです。
第2次大戦後、中国はいち早く考古学の調査研究を復活し、全国の文物・遺跡の調査、保護に取り組みました。1952年には北京大学に考古学系が設立され、宿白、蘇秉琦、夏鼐等の諸先生が中心となり、研究者の教育と養成が行われました。それとともに全国の考古発掘の人員養成のための教育も同時に行われましたが、これらの人々は、今日、全中国の博物館や研究所で調査・研究・保存・運営などの中心的役割を担って活躍しています。日本からの留学生でここに学んだ者もまた少なくありません。 二」「1
出品される作品は300点あまりにのぼります。作品のほとんどは北京大学考古学系の発掘調査によって得られたものであり、学術資料としてきわめて重要なものです。
今回の展覧会はすべて宿白先生、李伯謙先生をはじめとする北京大学の関係各位のご好意と熱意によって実現したものです。かつて北京大学に学ばれた故三上次男先生には私ども出光美術館は理事として長年ご指導をいただいており、北京大学考古学系の成果を今回当館で展観できますことは、まことに喜ばしく、また意義深いことです。
この展観を機に、研究者のみならず、中国文化を愛する多くの方々の一層の理解がすすみ、両国の交流と友好のきづながますます深まることを願っております。
最後になりましたが、今回の展覧会の実現のためにご尽力いただきました北京大学考古学系および北京大学サックラー考古芸術博物館の諸先生、また本展実現のためにご尽力いただいたすべての方々に心よりのお礼を申しあげます。-
1995年10月
出光美術館館長 出光 昭介