はじめに 中国の陶磁は、八千年を越える長い歴史を待ち、世界の陶磁の中にあって、常に際立った先進的役割を果たしてまいりました。わが国の陶磁も、奈良時代の三彩から近代に至るまで、中国陶磁の影響をつよく受け、その様式・技法を作陶の承要な指針としたことは周知のとおりであります。 そして、われわれ日本人は古くから優れた中国陶磁に接し、これらを賞翫してまいりました。幸いなことに、今日、わが国にはそうした中国陶磁の名品が、諸国に較べてひときわ数多く収蔵されております。 この度の展覧会は、それらの陶磁器の中から特に秀でた作昌三四三点を一堂に集め、新石器時代から済時代までの陶磁の展開を中国の歴史の起伏にあわせて紹介しようとするものであります。ここでは、とりわけ技術と様式に焦点をあてて構成し、戦国、三国、六朝未、晩唐こ五代、元、明未済初の時代を創造的な時期として捉らえ、また漢、唐、宋、明、済時代をその展開の時期として対峙させ、中国陶磁の織りなす歴史の壮大なドラマを描こうと試みました。 最後に、本腰に愛蔵の名品をご出品下さいました博物館、美術館並びに所蔵者各位、また特別出品を賜ったアメリカ合衆国のネルソン・アトキンス美術館、及び、クリーブランド美術館のご好意に対して、深く感謝の意を表する次第であります。 平成六年十月 東京国立博物館
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