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金沙遺跡2007.02.26更新

金沙遺跡

【和:きんさいせき
【中:jin sha yi zhi
殷・周時代 >金沙遺跡

 金沙遺跡は成都市の西郊外に位置する蘇坡郷金沙村にある。2001年、蜀風花園での工事がきっかけとなり、発見された。黄金製器物30点余り、玉器、青銅器各400点余り、石器170点、象牙製品40点余り、1t近い象牙、大量の土器など、出土した貴重な文物は1000点を超える。出土品の多くは商(殷、紀元前17世紀初~前11世紀)後期から西周(紀元前11世紀~前771年)のもので、春秋時代(紀元前770年~前476年)のものも一部含まれている。発掘は現在も進行中で、更に多くの文物が出土する可能性がある。
 出土した黄金製器物には仮面、金帯、円形装飾品、ラッパ型装飾品などで、仮面は最も特徴的である。玉器は種類が多く、精巧である。玉器の中で最大のものは高さ22センチの玉琮(祭祀用器物)でヒスイ色をしており、細工は精緻で、表面には髪のように細い線で刻まれた紋様と人物像があり、国宝と称えられている。青銅器は小型のものが多く、人物立像、祭祀用器物、戈、鈴などがある。石器の石人、石虎、石蛇、石亀などの像は、これまでに四川省で出土した文物の中では最古のもので、最も美しい石器である。特に人物坐像は生き生きとし、専門家は、当時の貴族階級に仕えた奴隷か、捕虜であろうと分析している。
 金沙遺跡の発見は世界の注目を集めた。ある考古学者は、金沙遺跡は四川省・広漢の三星堆遺跡に継ぐ重大な考古学的発見の一つであるとし、金沙遺跡の発掘は古蜀の歴史と文化の研究に重大な意味を持つと述べている。成都の歴史は文献資料では最も古くて戦国後期のことしか分かっていないが、金沙遺跡は有史以前の成都を中心とする四川省の歴史を知る上で貴重な有形資料である。
 金沙遺跡の出土品の多くが祭祀用器物であることから、おそらく成都平原の最高統治階層の遺跡であろうと思われる。出土品は三星堆遺跡のものに酷似しているが、差異も見られ、両者の間には密接な関係があったものと推測される。金沙遺跡の性質は、現在のところ祭祀遺跡の一つとされているが、玉器、石器の半製品やその材料が大量に残されていることから、居住遺跡の存在も否定できない。出土した大量の貴重な文物と周辺の大型建築物の遺構から、この地域は商末から西周にかけて成都地区の政治、文化の中心であったと見られる。遺跡から出土した玉戈、玉?から、金沙文化は孤立した文化ではなく、黄河流域や長江下流と文化的な交流を持っていたものと見られる。これは、中華文明の多元性を証明するものである。 出所:「金沙」

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