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玉琮(1) 2007年12月01日(土)更新
上海市青浦県福泉山遺跡出土
高5、孔径6.9
良渚文化・前2500年頃
上海博物館蔵
中国では磨くと美しい光を発する石を玉と呼んで、古来珍重している。琮とは、内側に円い孔を穿った方柱形の玉器である。
この琮は緑色の光を通す玉で作られている。上部が下部よりわずかに広がっているが、これは古代の琮に共通する特徴である。方柱は隅丸で、側面がやや外側に張り出している。隅丸の四隅は周囲より一段厚くなっており、ここに上下二段に顔のような図が彫りこまれ、それぞれの顔の両側には鳥が一羽ずつ刻まれている。上の顔は目が凹線の円で、左右に短い刻みを入れてまなじりを表わしている。下の顔の目は幅の広い帯で縁取られ、二つの縁取りの間にも帯が渡されている。こうした図像は、浙江省余杭県反山遺跡出土の良渚文化の玉器に刻まれた神と獣の図像を簡略化したものと考えられている。つまり、玉琮の隅の二段の顔は、上が神の顔、下が獣の顔であり、神の顔の上にある横帯は冠を表わしているようである。
当時、金属はまだ使用されていなかったと考えられる。したがって、この玉琮を作るに当たっては、磨き砂や砥石を用いて玉塊を気長に削り、石英などの硬い石の刃物で紋様を刻み込んだものと思われる。こうした玉器の製作には相当な時間がかかったであろうこと、そして完成後は宝として珍重されたであろうことは想像に難くない。
この琮は一九八二年に福泉山遺跡第六号墓から、多数の玉器とともに発見された。用途については説が分れているが、単なる装身具とは考えられず、おそらく宗教的な儀式に用いられたのであろう。現在知られている良渚文化の玉器は、自色を呈するものが多い。これは長い年月の間に玉器の表面が風化して白くなったためとされるが、この味は本来の色艶をよく留めていると思われる貴重な例である。出所:「上海博物館展」
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