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中山王九鼎  2008年08月24日(日)更新

鉄足大鼎(九鼎の一)
【和:ちゅうざんおうきゅうてい
【中:Zhong shan wang jiu ding
春秋戦国|青銅器>中山王九鼎

鉄足大鼎(九鼎の一)、青銅・鉄 通高51 口径42 最大径65.8 重60kg
鼎(九鼎の二)、青銅 通高37 口径33 最大径46.3 重29kg
鼎(九鼎の三)、青銅 通高36 口径33 最大径45.4 重23kg
鼎(九鼎の四)、青銅 通高35 口径27.2 最大径39.1 重17.6kg
鼎(九鼎の五)、青銅 通高27.1 口径27 最大径33.2 重9.2kg
鼎(九鼎の六)、青銅 通高22.6 口径21.5 最大径30.5 重7.6kg
鼎(九鼎の七)、青銅 通高21.6 口径20 最大径27.6 重5.8kg
鼎(九鼎の八)、青銅 通高18.9 口径17.7 最大径26 重5.2kg
鼎(九鼎の九)、青銅 通高17.4 口径15.8 最大径22.6 重3.3kg
1977年中山王(興+昔)墓出土
 礼器。「列鼎」とも呼ぶ。 当時肉類を煮た礼器で,大きさの順に並べた。周時代の制の規定によれば「士」クラスの官は一つないし三つの鼎,「大夫」クラスの官は五つの鼎,「卿大夫」クラスの官は七つの鼎。天子は九つの鼎を用いたが, 奉秋戦国時代の各諸侯国君も九つの鼎を用いた。九つの鼎に盛られた肉類は, 牛, 羊,豚, 魚, 乾し肉,牛羊の内臓,豚の皮,鮮魚,なまの乾し肉(ほしたばかりの肉)など九種である。九つの鼎が中山王(興+昔)墓から出土したことで,彼らの地位が判明する。
鼎の形は三足,平底で,やや張りのある腹部中間を凸弦文が一周している。上部には一対の耳が付き,蓋を受ける口縁は内側にすぼんでいる。蓋は第二,第三の鼎が平らであるほかはすべて丸みが有り,環形ないし雲形の鈕(つまみ)が三つ等間隔に付く。
_ 最大の鼎は足が鉄製で,現在中国で発見された戦国時代の銅鉄合鋳の器物の中で大型の部類に入る。足の継ぎ日から下の底部には火に掛けた跡がある。すす跡の上端は,竈(かまど)で使われたことがわかる。出土時,蓋と口の間に六枚の麻布がはさんであったので,麻布の下の銅質は新品同様に銹ていなかった。鼎内には乾燥して結晶状をした肉汁があった。蓋の環鈕から足の間の器の表面には,銘文77
行が刻まれている。各行六字ずつ(蓋に二字,腹部凸弦文の上に三年,下に一字)で末行のみ―字,合計469字という数は,現在のところ中国で発見された戦国時代の銅器銘文中最も多い。
銘文の大意は次の通り。この鼎は中山王(興+昔)十四年に製造した。燕の国王は宰相子之に迷わされて彼に王位を譲ったため,国も命も失ってしまった,と責める一方,わが宰相司馬賙謙恭忠信にして,若き主君を輔佐し燕に兵を進めて領土を数百里広げ,城邑数十を占領した功績を称揚する。
また呉国に併呑された越国が,その後呉国を覆滅した教訓を,位を継ぐ者は肝に銘じ,隣の敵国がいつも我が方の安全を脅かしていることを忘れてはならないと戒めている。
この銘文の文字は練達した腕で刻まれ,縦横の線は剛直で曲線は均斉がとれてのびやかである。精緻で鋭く,書体は秀麗で芸術的傑作といえよう。その内容は戦国時代,特に中山国の歴史を研究するうえで貴重な新資料である。銘文の言語文字は中原諸侯国とほぼ同一で,中山国の文化が中原文化と基本的に融合していたことがわかる。出所:「中山王国文物展」-中国戦国時代の雄 

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