考古用語辞典 A-Words

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賢愚経残巻(大聖武) 2009年3月12日更新

賢愚経残巻(大聖武)
【和:けんぐきょうざんかん
【中:Xian yu jing can juan
彫刻・書画|>賢愚経残巻(大聖武)

聖武天皇
一巻
紙本墨書
縦二七・五 全長六九六・九
奈良時代・八世紀
 賢者愚者に関する臂喩的な説話六十九篇を収めた経典である『賢愚経』を書写した写経である。正しくは『賢愚因縁経』と呼ばれる。現在、ほかには東大寺に一巻、前田育徳会に三巻、白鶴美術館に二巻が巻子本の形で伝存する。聖武天皇の筆と伝称され、古筆手鑑の巻頭を飾る名筆として諸家に分蔵される。『賢愚経』は、漢訳の十三巻本が一般に流布している。ところが、この「大聖武」の東京国立博物館本の冒頭「波斯匿王女金剛品第八」は十三巻本では巻第二の巻頭に該当するが、品名を含んだ第一紙目が六行しかなく、別の編成をうかがわせる。さらに、東大寺本に「賢愚経梵志施仏納衣得受記品第五十八 巻第十五」の首題かおることからも、この「賢愚経」は別に編成された十六巻ないしは十七巻本を用いて書写されたものと考えられる。料紙は釈迦の骨粉を混ぜた荼毘紙と伝えられるが、檀の繊維から作られた檀紙に薄墨の界を引いたものである。通常の写経が一行十七文字で書写されるのとは異なり、「根本百一羯磨」(東京・根津美術館)や「大字法華経」(京都・竜光院)などと同じく、大ぶりな字形で、端正な気魄に満ちた量感溢れる筆致で一行十二から十四字に書写される。その書風は、中国北魏の「始平公造像記」などに酷似し、舶載の写経、あるいは帰化人の書写の説もあるが、詳細は明らかでなく、八世紀の書写と推定される。前田育徳会本の第三巻に、東大寺戒壇院に伝来した欧文が記されており、断簡の名称「大和切」はこの伝来の地に因んだもので、また「大聖武」の名は伝称筆者聖武天皇に因むものである。
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