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ピッティ宮殿(イタリア) 2009年7月21日更新

ピッティ宮殿(イタリア)

【和:ピッティきゅうでん
【英:Galleria Palatina,Palazzo
研究機関|>ピッティ宮殿(イタリア)

ウフィッツィ美術館からアルノ川をヴェッキオ橋を渡ってまっすぐ行くと、すぐにピッティ宮である。この宮殿は、十九世紀のフィレンツェの銀行家でメディチ家のライバルだったルカ・ピッティが、メディチ宮より勝ったものをとブルネレスキに設計を依頼した建物だが、ルカ自身も失脚し、結局、メディチ家のコジモ一世によって完成された建物である。ピッティ宮の奥にボーボリ庭園があり散策にもよい。
二階へあがると、美しい宮殿の展示室が広がる(ここは、パラティーチ美術館である)。まず、ルーベンスの大作が迎えてくれる。「アポロの間」のティツィアーノ「マグダラのマリア」は表情が豊かで官能的な美しさを見せている。
「マルスの間」ではルーベンス「四人の哲学者たち」が秀逸である。ヴァン・ダイク「枢機卿グィド・ベンティヴォリオの肖像」やブロンジィーノの肖像画、ムリーリョの「聖母子」もすてきである。
「ジュピターの間」のラファエロ「ベールの女性」(一五一六頃)の布地の描写が見事である。この女性はラファエロの愛人であり、専属モデルとして数多くの作品に出てくる。フラ・バルトロメーオの大作「空マルコ」は十六世紀後半のフィレンツェ芸術の代表作の一つである。
「サタンの間」にはたくさんのラファエロの作品がある。「小椅子の聖母」は気品の漂う美しい作品、そしてラファエロの「聖母子像」は優しく繊細で人々をひきこむ魅力に満ちている。ペルジーノ「マグダラのマリア」も独特の雰囲気がある。「イリアスの間」にはベラスケス「フェリーペ四世の肖像」がある。
「ジュピターの教育の間」にあるのは、カラバッジョの「眠るキューピッド」。背景が暗いが、迫力のある筆勢を感じさせる名品である。キューピッドというより、可愛い人間の赤ちゃんである。「プロメテウスの間」にフィリッポ・リッピ「聖母子像」(一四五二)がある。円窓で背景に人が大勢いて物語風に描かれているが、聖母の表情が繊細でラファエロとは異なった魅力がある。
 展示室は美術史的な感じで展示しているのではなく、宮殿のコレクションという性格そのままの展示なので豪華きわまりないものである。たくさんの作品群の中から、名品を求めてゆっくりと鑑賞するのもいい。さすがフィレンツェの名家の収集したものだけに作品の水準は高く
充分に楽しませてくれる。ゆったりとリッチな気分を味わわせてくれる宮殿である。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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