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ブレラ美術館(イタリア) 2009年7月22日更新

ブレラ美術館(イタリア)

【和:ブレラびじゅつかん
【英:Pinacoteca di Brera
研究機関|>ブレラ美術館(イタリア)

ミラノのブレラ美術館のまわりには画材屋や画廊が多い。隣接してブレラ美術学校があるからであろう。一七七六年、ブレラ宮に絵画館と美術学校が創設され、現在では、その他に図書館、科学および文学研究所もある。
 門をくぐって中庭に入ると広場の中心に立つカノーヴァ作の「ナポレオン」の勇姿が迎えてくれる。そこを過ぎて、つきあたりに左右にあがる広い階段がある。のぼると絵画館(ピナコテーク)の入口である。この階段にも学生たちが座りこんで美術談義に余念がない。
 入口のところにミュージアム・ショップがあり、いろいろな美術書を豊富に揃えている。イタリアの美術館には資料を何も売っていないところが多いので、必要なカタログなどは買い求めておいた方がよい。
 まず、一室は細長い部屋で近代美術である。数は少ないがモジリアニ、ビカソ、ブラック、ボナールなどの近代フランス画壇の画家たちの作品がある。いずれもがなかなかの名作である。近代イタリアを代表するモランディ、カルロ・カラ、セベルリーニなど数多く展示されている。彫刻はロッソ数点とマリノ・マリーニが飾られている。
 十九室にはティントレット、ロレンツォ・ロットがある。二十室には圧倒されるほどの名作が並んでいる。マンテーニャ「死せるキリスト」、ジョヴァンニ・ベルリーニの「聖母子」や「ピエタ」がある。「死せるキリスト」はその構図の異色なことから一度見たら忘れることのない作品である。数年前にこの作品を見てからミラノというと不思議にこの作品を思い出す。ベルリー二は表情が美しい。 この作家のもつ味わいの深さは独特のものがある。二五室にはピエロ・デラ・フランチェスカの傑作のひとつ「諸賢人と脆いたモンテフェルトロ公に囲まれた聖母」がある。うしろに立つ天使たちが見事である。また、ラファエロの「聖母の婚礼」もここにある。ラファエロの若き日の作品であるが、建築と人物とのバランスなどに卓越した才能を感じる。
 二九室のカラバッジョの「エマオの晩餐」は暗い色調だけれども迫力に満ちている。三十室にはジェリコーやリベーラがあった。  三一室にはルーベンス、ヨルダーンス、ヴァン・ダイクがあり、三二室にはエル・グレコ「聖フランチェスコ」が飾られている。このグレコは色数は少ないが厳しさがあっていい。
 三二室の小部屋にレンブラント「若い女性の肖像」がある。三五室のカナレットやグァルディのベニスを描いた作品がいい。三七室は十九世紀イタリア美術となり、フランチェスコ・ハイエの「接吻している男女」が印象的であった。  その他見るべき名品としてあげられるのは、ジョヴァンニとジェンティーレ・ベルリーニ兄弟の作品で、ジェンティーレが一五〇七年に死んだのちジョヴァンニが完成させた七メートルの大作「アレクサンドリアにおける聖マルコの説教」である。またベルナルディノ・ルイーニの「バラ園の聖母」も美しい。修復中などの理由ですべての作品が飾られていないことも多いので見当たらないときは監視の人にきいてみるといい。
 二階の回廊にコーヒーショップがある。たいていは学生たちがたむろしている。おそらく美術学校の生徒たちなのだろう。あまり、くつろげないかもしれない。部屋から部屋への流れがわかりやすく、一周するとすべてを見られるのがよい。充実した時間であった。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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