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聖フランチェスコ聖堂(イタリア) 2009年7月23日更新

聖フランチェスコ聖堂(イタリア)

【和:せいフランチェスコせいどう
【英:Basilica di San Francesco
研究機関|>聖フランチェスコ聖堂(イタリア)

ミラノからローマへの中の旅の途中アッシジに立ち寄った。ペルージアから十五分の距離である。アッシジの町は丘の中腹にこぢんまりとまとまっていた。街道から見える村の風景は誠に絵画的で美しい。美術の旅をするにあたって、ローマ、フィレンツェ、ミラノの旅には必ず登場してくるアッシジは、この遠景の美しさだけでも旅人を魅了してしまう。
坂をのぼり、村の中に入る。古い建物と石畳が歴史を感じさせる。 一番手前に見えるのがジョットの壁画で有名な、聖フランチェスコの聖堂である。 聖フランチェスコはアッシジの富裕な毛織物商の息子として、 一一八二年に生まれた。若いころは武人として身をたてる夢を描いていたが、 一二〇一年に熱病を思ってから深い信仰に目覚めるこ世俗から遠ざかり、優しい心情をもって謙虚なつつましい一生を送った。 一二二六年、四十四歳で亡くなっている。ジョットの壁画は、聖フランチェスコの一生を物語風に描いたものである。
一二五三年に建てられた教会は、二層になっており、下層は薄暗い大きな理性で、天井が低い。壁面は十三―十四世紀のフレスコ画で飾られている。左側の最初の礼拝堂は、聖マルティヌス礼拝堂で、ここには聖マルティヌスの生涯を描いたマルティーニのフレスコ面がある。右側の奥の聖マグダレナの礼拝堂にはジョットの「我に触れるな」がある。主祭壇の右側の袖廊にはジョットの傑刑」が立っている。また、 マルチイーニの「聖クレラ」と「聖フランチェスコ」は品のある表情が美しい。チマブーエの「四人の天使を従えた聖母と聖フランチェスコ」は聖フランチェスコがよく描かれ、この聖堂のフレスコ画の中でも最も光っている。
上の聖堂へのぼると、天井が高く、明るい光が満ちていて、さわやかな気分になる。ここにジョットとその弟子達が聖フランチェスコの生涯を描いた二八枚のフレスコ画がある。主祭壇に向かって右側の壁面から始まる。つまり、下からのぼってくると、左側から物語が始まる。写実的に描かれているためにわかりやすく、ガイドブックを片手に見ていくと、面白みが一段と増す。 一番奥の「小鳥に説教する聖フランチェスコ」は有名な作品である。 一二九六年から一三〇〇年にかけて描かれたものであるが、現代に通用する簡潔でモダンなものを感じさせる。歳月を経たフレスコ画の色のまろやかさが、聖フランチェスコの優しさを表現するのに役立っている。
地下には、聖フランチェスコのお墓があり、また、当時使っていた粗末な茶色の僧衣も展示されており、質素な生活をしのばせる。
アッシジの歴史は古く、古代ローマ時代にさかのぼる。そのころの建物の名残りが今も町中にある。中世には、アッシジは市民戦争に巻き込まれ、十六世紀に教皇パウロ三世によって聖なる地とされたが、 一八七〇年イタリア政府によって統一された。
ここには、聖フランチェスコを敬愛する乙女キアーラが眠る聖キアーラ聖堂がある。この教会は美しい乙女にふさわしい白とピンクの大理石で造られている。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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