考古用語辞典 A-Words

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ビュールレ美術館(スイス) 2009年7月27日更新

ビュールレ美術館(スイス)

【和:ビュールレびじゅつかん
【英:Stiftung Sammlung E.G.Buhrle
研究機関|>ビュールレ美術館(スイス)

 E・G・ビュールレは、一八九〇年に生まれ、工業家として成功した人だが、学生時代から美術品が好きで、印象派に刺激されて収集を始めたという。彼の死後、一九六〇年に財団となり、その住居がビュールレ美術館となった。緑に囲まれた高級住宅地にあり、門構えもごく普通の三階建ての住居である。
 玄関を入るとすぐ階段があり、両側にドラクロアの作品が掛かっていた。一階ホールは薄いグリーンの絨毯で柔らかな印象を与えてくれる。右側の事務所の、デスクのうしろに無造作にレンブラントの「サスキアの肖像」が掛かっているのにまず驚く。このホールには真ん中にビュールレの肖像彫刻が置かれ、オランダの画家達の作品が飾られていた。
 左側の部屋から順に見ていくと、まず最初の部屋はピンクの壁で、ロートレックの「G・H・マニエルの肖像」ほか四点あった。スーラはスケッチ・サイズのニ点の作品があり、「パレード」はニューヨークのメトロポリタン美術館にある大作のエスキースである。
 次の部屋は、ゴッホの「白いマロニエの花」、ドガ「レピク公と娘たち」、モネ「ベトゥイユの罌粟」、と続き、次の壁にはセザンヌの「パレットを持つ自画像」「赤いボレロの少年」「セザンヌ夫人」とありどれも名品である。
 続くオレンジ色のカーテン、木組みの床にオランダの古い陶器の飾りが置かれた部屋は、ルーベンス「聖アウグスティヌス」やレンブラント「鳥と少女のいる静物」があるオランダの画家たちの部屋である。
 次は薄いブルーの壁にグレーの絨毯、グレーのカーテンの静かな雰囲気の部屋で、クールベ「彫刻家の肖像」、アングル「デビラーの肖像」もある。ドガの大作とそのデッサン、コロー「読書する少女」は名品である。
 奥の部屋は、ロビーと同じ薄いグリーンの絨毯で白い壁の真ん中に白い暖炉が据えられている。ここは、スペイン、イタリアの大家たち、エル・グレコ、ティエポロ、ゴヤらの作品が陳列されている。特に、ゴヤの「バレンシアの行列」は大作で見応え充分である。
 二階へあがる階段の壁にあるシャガールの「結婚式」は、ロシア時代の二十二歳のときの作品である。
 のぼりきったホールにある作品群を、ヴラマンク「セーヌの岸」、マルケ「ル・アーブル」、マチス「パリ、セーヌ」、ブラック「バイオリン弾き」、ドラン「テーブル」、ピカソ「ギュスターヴ・コキュの肖像」と見てくると、ビュールレの鑑識眼の高さに驚かされる。作家の一番花開いた時期を的確にとらえている。
 ニ階の右側の部屋の窓からはチューリッヒ湖が見える。どの部屋にも窓があったが、次の部屋だけは窓がなく、足を踏みいれた瞬間、圧倒されるような緊張感を覚えた。優れた作品が揃っているのである。ゴーギャン「タヒチの田園風景」、ゴッホが日本の浮世絵の影響を受けて描いた「自画像]、またミレーの「晩鐘」に主題をとった「草刈る人たち」は圧巻である。
 次の部屋も感動的であった。正面にモネの「睡蓮」が壁一杯に掛けられ、その前にドガの「チュチュをつけた踊り子」の彫刻が置かれている。ここでは、美しい作品が一斉に語りかけてくるのであった。
 最後の部屋でも、ルノワール「春」が目をひき、モネ「ウォータールー橋」が美しい色彩である。三階は屋根裏部屋で公開されていないが、そこへの階段の壁面にはピカソ「静物」「イタリアの少女」、モジリアニ「裸婦」などが掛けられている。
 美しい絵をたくさん見て、夢心地で一階へおり、ふと前の壁に目を移すとルドンが二点掛けてある。家中が名品で埋まっている。世界の個人コレクションの中でも、質的にも有数のものといえよう。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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