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グルベンキアン美術館(ポルトガル) 2009年8月1日更新

グルベンキアン美術館(ポルトガル)

【和:グルベンキアンびじゅつかん
【英:Museu Calouste Gulbenkian
研究機関|>グルベンキアン美術館(ポルトガル)

 ボルトガルの首都リスボンにグルベンキアン美術館がある。トルコのイスタンブール生まれのアルメニア人で石油で莫大な富を得たカルースト・グルベンキアンがリスボンの気候風上が気に入り、遺志によってここに美術館を造ることになった。カーペット商人だった父親からお小遣いをもらうと古い金貨を買ったりする収集好きの少年が、やがて石油で成功し、次々と美術品を集めていったのである。オリエントの壷や陶器、古代エジブトの発掘品、ヨーロッパ絵画など、そのコレクションは幅広い。グルベンキアンは一九五五年に亡くなったが、一九六九年にリスボンに美術館が開館した。また、グルベンキアン財団は、種々の企画展も開催し、美術界の発展のための援助も積極的に行っている。その年間予算に百億円近くを計上しているという。
 グルベンキアン美術館は広い敷地に本館、企画館、近代美術館が建っている。常設展示の本館は平屋建てで、ホールを入るとすぐに中庭かおり、ロダンの「カレーの市民」シリーズの「ジャン・デール」が木々の中に立っている。  作品を見ていくと、エジブトの発掘品や古代ローマ、ギリシャ、メソポタミアの小品のコレクションがショーウインドー式のガラスケースに展示されている。一番美しいのはシリアやパレスチナの紀元前四世紀から三世紀の小さなガラスの小瓶で、虹色のにぶい光を発している。古い金貨(九―十一世紀)もケースの中にお行儀よく並んでいる。
 この美術館の呼び物の一つ、オリエント美術のコレクションでは、ペルシャの絨毯、古い織物、イランの十三世紀の壺や十六世紀の陶器、トルコの青や紺の陶器やタイル、シリアの十六世紀の大きなガラス器などがある。コーカサス地方、アルメニアの絨毯や皿が飾られているのは、グルベンキアンの祖先とその祖国をしのんでのことなのであろうか。
 また中国の陶器、置物、日本の金蒔絵の文箱や硯箱がたくさん陳列されていた。どれも十八世紀から十九世紀のもので、印籠も四十個ほどガラスケースに入っている。
浮世絵は歌川国芳の「東海道五十三次」が一枚ずつ壁にはめこまれ、スポットライトの淡い光に浮かびあがっている。歌麿や重信の作品もある。 ヨーロッパの美術は、フランドル派の十五世紀の画家、ヴァン・デル・ウェイデンの「聖カタリナ」の小品から、ルーベンス、フランス・ハルス、ヴァン・ダイクと並べられている。レンブラントの「アレクサンダー大王」(一六四五)、「老夫の肖像」(一六四五)もある。ルーベンス「エレーヌ・フールマンの肖像」(一六三〇-三五)は、スターリン治世下のソビエト政府が、一九二八年から一九三〇年の間に、外貨獲得のためにエルミタージュ宮殿などの所蔵品の一部を売り立てた作品の一つであるという。
 イギリス十八ー十九世紀の画家ゲインズボローの大作やターナー「セーヌ川口」「輸送船の難破」。フランス十九世紀の、テオドール・ルソーやフランソワ・ドービニー、ルノワール「クロード・モネ夫人」(一八七二)、ドガ「アトリェの中の画家の肖像」(一八七八-七九)、メアリ・カサットのパステル画「母と子(くつ下)」(一八九一、ファンタン=ラドゥールの「ばら」「静物」(一八六六)、「読書」などがあった。なかでもマネのフンャボン玉を吹く少年」(一八六七ー六八)と「さくらんぼと少年」(一八五八)がいいと思った。彫刻はロダンが多く、小品もいくつかみられたが、初めに見た中庭の「カレーの市民」が強く印象に残った。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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