考古用語辞典 A-Words

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インド国立博物館 2009年8月15日更新

インド国立博物館

【和:インドこくりつはくぶつかん
【英:National Museum of lndia
研究機関|>インド国立博物館

 インドの首都デリーは、ニューデリーとオールドデリーに分けられている。ニューデリーはアメリカのワシントンのように整然として官庁も多いのに比べ、オールドデリーは昔のままのインドそのもので、道が狭く人も多く、喧噪と熱気のあふれた町である。
 ニューデリーにある国立博物館は一九四九年に設立され、現在の建物は一九六〇年に開館した。当時は、イギリスの植民地政策からの独立などでこの国の変動期であった。開館当初は、イギリスのロイヤル・アカデミーから返却された作品を主とした約千点ほどのコレクションだった。その後次第にその数を増やし、十部門四万点の作品をもつまでになった。しかし、展示スペースが狭いため、約四百点が常設展示されている。
 ロビーは八角形で吹き抜けになっており、五-十三世紀の彫刻が置かれている。十一世紀の「王と遊ぶ女」が真ん中に置かれ、十三世紀の「太陽の神」が特に印象に残った。
 石器時代の部屋は、モヘン・ジョ=ダロとハラッパーの遺跡の発掘品が貴重で必見の価値がある。これらの遺跡は一九二一年に発見され、マーシャル、マッケイらによって発掘された。そのうちの三千八百点がここに保管されている。紀元前二五〇〇ー紀元前一五〇〇年のインダス文明の遺品の数々で、秤、鏡、印鑑などが展示され、初期美術特有の若々しい息吹に興味をそそられる。
 次の陳列室は、十三世紀のクシャーン王朝のガンダーラ、マトゥラー両派の作品があったが、豊満な女神像、穏やかな弥勒菩薩像、仏たちの顔にもギリシャの影響がはっきり感じられた。日本の大黒神を思わせる「お金の神様」(クーベラ)はお腹が太っていてユーモラスである。仏教の毘沙門天だから同じような顔をもっているのかもしれない。
 四ー六世紀のグプタ王朝は洗練、円熟、端正などで修飾されているインドの黄金時代といわれる。五世紀のガンジス川の鰐に乗っている女性二人の彫像と、ヤムナー川の亀に乗っている女性三人の彫像が面白かった。また、五世紀のマトゥラーの仏陀がまとっている、透けて見えるような衣服の彫刻や、典雅なサールナートの仏像があった。シンプルで高い精神性を秘めていて美しい。
 十ー十六世紀の彫刻は、ミニアチュールのように細かい彫りになっていて、その微細さにはいくらかなじみにくい感じをもった。古い時代の彫刻のおおらかさの方が私は好きである。
 二十世紀の金の仏像もあったが、きらびやかなだけで興味がない。最後の部屋にあった「ナタラージャ」と呼ばれるシヴァの舞踏像は、ヒンズーの神々を代表する十一世紀南インドの破壊神であり創造神であるが、動きがあり、リズム感があって、顔も品がよく印象に残った。寝ころんだ"邪鬼"の上での激しい宇宙の踊り。周囲の炎が円を描いていてダイナミックである。
 一階は重量を支えられることから、彫刻が主で、二階へのぼるとミニアチュール、古い教典、アフリカン・アートのようなインド・トリバルアートの木彫工芸、テキスタイル、イコン、武器、民族楽器などが飾られている。
 ミニアチュールはそれぞれに物語があり、ゆっくり見ていると面白い。ミニアチュールはラジャスタン州が一番有名で色も華麗である。中世の写本挿絵、近世以降のムガール画とエジプト画の興隆によって黄金期を迎え、多くの流派が栄える。宗教的色彩の強い題材が多く、画風も象徴的、精巧で細かく仕上がっているので、ミニアチュールを見るのには虫眼鏡が必要になりそうだ。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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