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釈迦仏伝図 2009年9月23日更新

釈迦仏伝図

【和:
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面白テーマ|彫刻・書画|>釈迦仏伝図

西チベット、グゲ地心
15世紀後半
綿布着色
101.5×81.3cm
個人蔵
この絵は、15世紀後半から17世紀中期に栄えた西チベットのグゲ派の傑作の一例である。絵の中火に釈迦牟尼と二大弟子、舎利弗と目連像が揃かれている。中央の三尊の上には弥勒と文殊とが、それぞれ崇高な慈悲と深遠な智慧をあらわす菩薩として描かれている。ともに入念に装飾された円光と層状の台座や銃眼模様をつけた色とりどりの蓮弁が、中央部を飾っている。その周囲を諸尊像や説話の場面が連続して取り囲んでいる。 この仏陀と二大弟子は、最も熟達した技で描かれたグゲ・ルネッサンス様式の絵像であり、特に色彩の微妙で鮮やかなこと、制御のきいた鋭くきびきびとした生きた線など、注目に値する。薄紫色の赤と暗青色にオレンジと黄色が反射し、爽快で理想化された美しさを生み出している。壊れそうな軽さをもった線描が、張りつめた空想的な、なおかつ叙情的な対位旋律を奏でている。霊妙な美しさを強調し過ぎないとしても、内なるあたたかい人間性が、軽さとウィットにより表現されている。
 絵の上部は、三十五懺悔仏の34の仏の姿が二列に描かれており、それぞれ獅子座に座している。ちょうどその下には、十六羅漢に布袋と達磨多羅という2人の゛侍者″を付加して十八羅漢としてあらわされており、それはアティーシャと関連する順序に従っている。左側には(図参照)、1)アンガジャ、2)アジタ、3)ヴァナヴァーシン、4)カーリカ、5)ヴァジュラプトラ、6)バドラ、7)カナカヴァトゥサ、8)カナカバラドヴァージャと18)布袋(銘ではAhorshaと呼ばれている。 右側には、9)バドラ、10)ラーフラ、11)チューダパンタカ、12)ピンドーラバラドヴァージャ、13)パンタカ、14)ナーガセーナ、15)ゴーパカ、16)アベーダ、17)達磨多羅となっている。
 下部には、仏伝図がぎっしり詰め込まれており、各々に銘文を伴い、左から右へ、左側の中程を起点として展開されている。場面は逆時計回りに五つの区画を経て、下部へ移り、ついで右側のハつの場面の区画へ続いて、入滅後の仏陀の遺骨を納めた八大仏塔で終わる。これらの仏伝図は、チベット美術の初期段階から知られるもので、1点のタンカに含まれた、最も精巧な完全な揃いである。
 このタンカは、西チベットの、グゲ王朝の首都であったツァパランにて、トゥッチが収集した作品のひとつである。ヴァージニア美術館蔵の釈迦牟尼像と同様、様式化した要素が多くあるが、本図はより大きく複雑で、賦彩に重要な相違がある。トゥッチによれば、これは、彼がツァパランの紅の寺、すなわち、グゲ王妃と、王自身と当時の遊行僧ガウァン・ギャツォにより建立された寺で見た壁画のいくつかと大変似ているという。この僧は、ゲルク派の祖、ツォンカパ(1357-1419)の弟子であるから、彼が遊行したのは15世紀の前半ということになろう。これらのことから、紅の寺の建立年代は15世紀中期から後半頃と考えられるのである。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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