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ダライラマ5世ガワン・ロサン・ギャツォ 2009年10月25日更新

ダライラマ5世ガワン・ロサン・ギャツォ

【和:
【中:
面白テーマ|彫刻・書画|>ダライラマ5世ガワン・ロサン・ギャツォ

チベット中央部
17世紀末期
青銅鋳金
高20cm
ローズ美術館
ガワン・ロサン・ギャツォは、ダライラマ5世として知られ、チベット歴史上の中心人物のひとりである。
彼はダライラマの5代目の生まれ変わりとして、1617年に生まれた。父は有名な貴族階級のニンマ派ラマであった。彼の青年時代、チベットはさまざまな貴族同士の派閥抗争で分裂していた。それはチベットの宗派も同じであった。この抗争は彼が25歳の時に解決し、彼はチベット聖俗双方の最高支配者へとのぼりつめていった。
 像背面の台座部分(上から2枚の座具)に銘文があり、ダライラマ5世像に同定される。銘文は次のように読める。「ガキ・ワンチュク[ダライラマ5世の別称で、1638年、21歳で僧となったときに送られた名前]。願主であるグェドウプ「dNgos Grublとその妻、一族や末裔が望みがかない、ついには高い利益がえられるように。」
 ダライラマは3枚重ねの四角い座具の上に敷かれた厚い衣の上に座す。座具は植物文や幾何学文などそれぞれ異なった文様が施される。左手は膝上に置き、元は法輪を持っていたと思われる。右手は安慰印をとる。帯にプルパ(金剛橛)という儀式用の三角の短刀の先が見える。プルパ(金剛橛)はタントラの儀式、特にニンマ派の主尊ヴァジュラキーラ(金剛?)の儀式に用いたもので、ダライラマが特に重視した尊像である。この像は、現在ボストン美術館にある在世中の1679年頃に作られた在銘のダライラマ5世像の顔貌に似ているので、この像もダライラマの姿を写した肖像であるといえる。丸い頭といちじるしくとがった顎が特徴である。高く鋭い鼻、厳しいが繊細な弓形の口、瞼の外側が細くなる杏仁形の目で硬い表情である。像高20cm弱の像だが、ダライラマ5世の尊厳と偉大さを頭部や繊細に作られた顔貌や量感ある体躯の表現によってあらわしている。
 力強い衣文表現によって像に特殊な風格をあたえている。なめらかな曲線的な運動と鋭い角張った衣褶は、像全体にダイナミックなリズム感をあたえている。表面の装飾も厚い衣の中にある内側のエネルギーの感覚を失わせることなく像の美しさを高めている。  この像に先行する様式としては、16世紀後期のもの、西チベットの作とみられるカルマ・ドゥツィ像や17世紀のタシルンポの像(『西蔵佛教藝術』)にあらわれる。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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